主人公の小学生の通学路は、寂れた商店街が含まれる。そこにはよく犬の散歩をしているおじさんの姿もある。おじさんが連れている犬はいつも可愛らしくて、皆は犬を触らせてもらおうと集まっていた。主人公の男児はそれをいつも見ていた。そしておじさんは決まってこう言う。「うちの犬はおしゃべりが上手なんだ」と。しかし、それは所詮、飼い主が聞く犬の鳴き声でしかなかった。児童たちは、それを相手にしていない。
そんな通学路では、ある事件が起きたことがあった。児童が何者かによって誘拐されたというのだ。そしてその児童は、まだ見つかっていなかった。
そして主人公が一人で帰っているときに、ある人物が声をかけてきた。何やら困っている様子だが……。
伏線の回収が見事でした。
また、街の様子を「歪な目玉焼き」と表現するなど、比喩が的確で、とてもイメージしやすかったです。
最後には背筋がぞくりとすること間違いなしの一作。
是非、ご一読ください。