少し早い時計

田土マア

少し早い時計

 私の時計は周りの人間よりも早く進んでいる。

その時間に私もたまに置いていかれそうになるときもある。

気づいた時にはもうこんな時間。となるときも少なくはない。

生き急いでいるんだろうか。時間が欲しい。

本を読んだり、ゲームをする、自由な時間が。

時間が足りない。というのは少し違う。

時間が欲しいだけだ。


人間が創り出した概念“時間”

私はそれが欲しい。


数字で何時何分何秒と表されるが、

本来そんなものはどこにも存在してないだろう。


所詮、人間が創り出した決まりのようなものだから。

その決まりがないと不便だから。


決まりの上に私たち人間が生きている。

運命の歯車というものが存在するのならば、

生かされている。という表現のほうが正しいのかもしれない。


私の時間は周りより早く進むと言っても

周りの人間と同じ空間に生きている。


それでも私の時間は周りより五分早く進んでいる。




“物理的”に五分早めた腕時計を眺めながら私はこんなことを考えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少し早い時計 田土マア @TadutiMaa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る