第3話

「おはよー」

「あ、おはよう、凪」

「どうしたの。今日早いじゃん!」

「ま、まあな」


 いつもより早く学校に来ているため、二人もビックリしている。


「どうしたの?生活習慣見直した?」

「そ、そうだな。もしかしたら今日だけかもしれないけどな」

「まあ、少しずつ直していけば良いんじゃないか?」


 い、言えない。クラスのアイドル的存在にお世話になったなんて……。

 俺はいつもより早く学校に来ているため、残った時間は二人と過ごすことにした。




♡♡♡♡♡♡♡




「ところでさあ、いつ行っても良い?凪の家」

「え?!あー、そ、それはだなー」

「ねえ、太一も行きたいよね?凪の家」

「ん?そうだな。あんまり凪、誘っても来ないからな」

「三人で遊ぶと、必然的にお前らイチャつきだすだろ!」

「まあね~」

「まあね~、じゃねぇ!少しは自重しろ!」


 この二人と遊ぶときは大体胸焼けしてしまうため、ブラックコーヒーの需要が絶えない。そうすると夜眠れなくなるという最悪のコンボになってしまう。あれ?そう考えれば寝坊しそうなのこの二人のせいじゃない?


「あ、次体育じゃん!急ごっ!太一!」

「そうだな。凪、行くぞ」

「ああ、分かった」 


 体育か~、体育そんな好きじゃないんだよな~。面倒くさい気持ちになりながらも、俺は二人の後を追った。




♡♡♡♡♡♡♡




 体育の内容は女子も男子もバスケだった。ハーフコートずつ使い、試合をしている。女子の方は千尋と月見さんが同じチームなので、無双している。多分一回も負けないと思う。


「うわぁー、女子の方盛り上がってんな~」

「確かに!クラスの二大美少女もいるし!」

「それにほら!こう、何がとは言わないけど、揺れるじゃん?」

「確かに~!」

「……おい太一、お前の彼女が好奇の視線を浴びてるけど良いのか?」

「千尋はかわいくて運動も出来るからな。当たり前だ」

「別に惚気は聞いてないんだけど……」


 やはり合同となると男子の下品な会話も絶えないな。特に月見さんと千尋への視線が凄いことになっている。太一は気にしないんだろうか。


「そりゃムカつくに決まっているだろう」

「いやナチュラルに人の心読まないでよ……」

「だが、ここで揉め事を起こす方が、千尋に迷惑がかかってしまう」

「……確かにそうだな」


 太一もそれなりに考えているらしい。


「凪は彼女は作らないのか?」

「うーん、全く欲しくないというわけでもないし、今すぐ欲しいというわけでもないし」

「癒しになるぞ~、かわいくてしょうがない」

「はいはい、惚気は勘弁してください」

「月見とかはどうなんだ?」

「うっ、つ、月見さん?」

「あ、お前嫌いとか言ってたよな?どうしてなんだ?」

「言葉にしづらいけど、一つ言うなら笑顔、かな」

「笑顔?他の人は虜にされているが」

「これはなんとなくでしかないんだけど、顔は笑っているのに心は笑っていないというか、仮面を被っているというか」

「ふーん、分からないな」


 やっぱり伝わらないものなのか。もしかしたら僕の勘違いかもしれないしな。

 僕たちはそれ以上は女子の方を見るのはやめて、授業に集中することにした。



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親の再婚で妹になった人は、学校で有名な美少女。そして、僕の嫌い人だった。 @1ya12ma2to

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