第12話 KISS
ある日の学校帰り私は友達と、カラオケで盛り上がり辺りは薄暗い。
「じゃあねー」
「またねー」
私達は別れ帰ろうとした、その時!
「「あっ!」」
同時に口を開いた。
偶然にも私の目の前には、いつも顔を合わせている悠也がいた。
「ちょっと本物?」
「ヤバイ、ヤバイっ!」
「 YU-YAだよね」
そういう声が聞こえてくる。
「もしかして……ヤバ系……?」
小声で言う悠也。
グイッと私の手を掴む悠也。
「えっ?」
スタッ
私の体がグイッと引っ張られた。
「えっ!? 待……ええーーっ!」
私達の後を追うようにファンが殺到する。
「ごめん……咄嗟に手が……」
「今更謝られても……でももしかすると報道になるかもね」
「冷静に言うなよ」
「芸能人だからね~悠也は」
「あのな~」
私はクスクス笑う。
「でも、たまには良くねーか?」
「いや良くないし!」
「この際、交際宣言する?」
「えっ? 何言って……」
「俺は、そのつもりだけど?」
「えっ!?」
「彼女に片想い中ですって!俺、マジだから。あんたの事」
ドキン
胸が高鳴る私。
「悠也? こんな時に何を言い出すわけ?」
「演技とか抜き。つーか、こんな時に演技出来る状態じゃねーし。俺のプライベートに、気付けばいつもあんたが存在してる。つーか人生にが正しいかもな。ずっと一緒だしな」
ドキン
笑顔で言われ胸が高鳴る。
「まっ! この話はいつかゆっくり後程。つー事でもっとスピード出しまーす」
私達は街中に消えていく。
それから悠也にマジ告白された。
「俺、朋華の事が好きなんだ。今の彼氏の事で悩んでいるお前見たくねーし。俺との事、考えて欲しい」
そして、ある日の事。
「朋華、大事な話があるんだ」
彼氏である正人から言われた。
「何?」
「俺……今、朋華以外の相手と付き合っているんだ」
「………………」
「ごめん……だから……」
「別れて欲しいって? 早く言ってくれれば良かったのに……」
「本当、ごめん」
「別に私も知ってて付き合ってたから。私こそごめん……」
「えっ?」
「女の子といる所を街で見掛けてて……友達なのか家族関係なのかって思う中、正人に、その日の一日の行動を聞いたら男友達と遊んでたって言われた時、疑った瞬間だった……」
「……そうだったんだ……」
「ズルズル付き合っていたけど、結局こういう事になるなら早い方が良かったね。ありがとう。今迄付き合ってくれて……」
私は足早にそこから去った。
その日の夜 ―――
「たっだいまー!」
「……おかえり……」
「なあなあ、朋華ちゃん、ちょっと聞いてくんね?」
「何? 帰って早々テンション高いし」
「ありのままの俺なんだから仕方ないじゃん!」
「それで何?」
「今日、ドラマのロケ地ですっげ良い所あったんだ。今度一緒にどう?」
「そんなの一緒にいる時点で駄目じゃん! デート所じゃないよ」
「好きな女と出掛けるのってマジラッキーじゃね? そんな周囲の事気にしてたら何処にも行けないじゃん」
「ファンの目が怖いんだってば!」
「そんなのこの俺がうまくやっていくし。朋華は堂々としてれば良いんだって。それともやっぱり一般人が良い?」
「えっ? あっ、いや……別にそうとは限らないんだけど……ごめん……悠也……私もヘコんでて……」
「何? どうしたの? 何かあった? この藍神 悠也様が聞いてあげようじゃん!」
「……いや……悠也は……」
「何? もしかして男絡み?」
「………………」
「マジかよ……で?」
不機嫌そうに尋ねる悠也。
「彼氏の事? ちなみにうまくいってんの?」
「……別れた……」
「えっ!?」
「要約、他に付き合っている彼女いる事自白した……まさかと思ったけど……」
「そうか。じゃあ、俺とマジ恋出来るじゃん!」
「えっ?」
「あん時の想いマジだし! ゆっくりで良いから、お前は俺の傍にいろ!」
ドキン
「悠也……」
ドキン
キスされた。
「ゆっくり付き合っていこう。朋華」
いつになく優しい悠也の眼差しに私の胸はざわつく。
そして悠也は抱きしめた。
「でも……好きになる保証もないのに?」
「それが分からないから待つしかない訳じゃん!」
「悠也……」
「だけど、本当に待てなくなったら俺は、ここ出て行くから、その時は別々の人生歩めば良いから」
それだけは嫌だと思う我が儘な私がいる。
「でも、近すぎて分からない事あるから、離れて気付く事もある訳だし」
「うん……悠也……」
「何?」
「改めて宜しくね!」
「ああ。一応、保留な。急がないでゆっくりで良いから」
「うん……」
いつか私達の関係が変わる?
だけど
悠也の気持ちを裏切らないように……
ルームメイト ハル @haru4649
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます