第11話 悠也の想い
「なあ、お前らの中に恋愛というのは生まれないのか?」
康司が俺に聞いてきた。
「恋愛? まっさかー」
「嘘、嘘。お前が仕事じゃない限り24時間一緒じゃん!」
「だけど、各々の部屋にいるからなぁ~。ご飯食べる時位で後は別々だし。恋だの愛だのねーな」
「ふーん」
そんなある日の事だった。
休日、一人街に出た時の事だった。
正人が女の子といる所を見掛けた。
友達なのか家族関係なのか定かじゃないけど、その日の夜、メールで正人に尋ねてみた。
♪~
『今日、何してた?』
♪~
『今日? 男友達と遊んでた。朋華は?』
♪~
『街に用事で出かけて、用事済ませてから街ブラついてた』
♪~
『そうなんだ』
私達はメールのやり取りをする。
男友達?
じゃああの女の子は?
そんな疑問を抱く中、それに関しては触れるのは辞めた。
私はその事を胸に秘めながら
正人とはそのまま付き合っていた
付き合って1ヶ月
普通にデートを重ねていた
2ヶ月目
お互いの都合により
2、3回
3ヶ月目
ピタリとなくなり
メールと電話だけ
私達にとって
このままで良いのかな?
なんて……
恋人同士になると
こういうもの?
「とーもーかーちゃん」
ビクッ
自分の部屋で考え事している私に声をかけられ驚く私。
「悠也ぁっ!?」
「大丈夫?」
「えっ?」
「何か考え事してた? 悩んでますって顔してたけど」
「だ、大丈夫だよ」
スッ
私の頬に触れる悠也。
ドキン
胸が大きく跳ねる中、何故か私の中で胸の中がざわつく。
「何かあったって顔してる」
ギクッ
図星だ。
「………………」
下にうつ向く私。
「朋華?」
「……恋人同士に……なるんじゃなかったかな……?」
「えっ?」
「ううん、何でもない! 平気だから! ほら、ほら出て行って!」
私は悠也を部屋から追い出すように押し出す。
「あっ! おいっ! 朋華ー? 朋華ちゃーん」
「悠也に……自分の弱い所、余り見せれないよ!」
「一緒に住んでるのに? 自分の全て見せねーと、俺もどうすれば良いか分かんねーし!」
「……ごめん……悠也には……まだ自分曝け出せないよ!」
「……何かあったら傍にいるって約束してんのに? だったらさ、一人で住んだ方が良くねーか?」
ズキン
悠也の言葉に胸が痛む。
「………………」
カチャ
ドアを開ける私。
「それは嫌……」
「朋華」
私は悠也に抱き付く。
「だったら、お互いもっと自分曝け出した方が良いと思う」
私は抱き付いた体をゆっくり離す。
「同居してんだし、何の為に俺がいんの?」
「……嫌われたくないの!」
「えっ?」
「嫌気さして出て行かれたくないし悠也には迷惑かけたくないの!」
「朋華……だったら俺も迷惑かけれない」
「えっ? ……悠也……?」
「俺は業界の人間だし俺だって色々あるけど、でも、お前が元気ないと、もっと困る」
「……悠也……」
「嫌いになんねーよ! お前が俺を必要としてるなら、それに応えるし、一緒に住んでるのに、お前がいないと俺は困る元気ねーと調子狂う! つーか……恋におちそうで恐いんだけど」
「えっ!? こ、恋ぃっ!悠也が私に……」
「真に受けんなっ!! とにかく、そういう事だかから」
悠也は自分の部屋に移動した。
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