第10話 同居人の存在
正人とデートする予定だったのに、同居人の事がバレてしまい、デートを中止した。
名前は知られてないものの、芸能人と住んでる事は、ほんのごく一部しか知らないはずなのに、どうして?
そんな疑問を抱いてしまい ―――
私はぼんやりと帰る。
「はい、本番いきまーす!」
ドラマの撮影中。
私は何も知らず―――
ドンッ
誰かとぶつかった。
「きゃあっ!」
「うわあっ!」
ポトッ
ぶつかった拍子に携帯が地面に落下。
「カット、カットーっ!」
大きい声が響き渡る。
「えっ!? えっ? カット……?」
私は辺りを見渡す。
どうやらカメラがあるようだ。
ただならぬ雰囲気。
視線が痛い。
すると目の前には見に覚えのある顔。
悠也だ。
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
「ハイハイ、取り直しー」
監督さんと思われる人が言う。
「………………」
「ご、ごめんなさい……す、すみません」
私は足早に、そこから去り始める。
グイッ
引き止められた。
「待って下さい。落としてますよ」
「えっ?」
「携帯。大事な物でしょう?」
「すみません……ありがとうございます」
悠也にポンと頭をされた。
「キャー」
黄色い声が聞こえ、ざわつく周囲。
「後で話聞く」
私達にしか聞こえない位の声で言う悠也。
私は帰る事にした。
その日の夜。
「ただいまー。朋華ー?」
私の部屋に訪れる悠也。
「朋華ー?入るよー」
カチャ
ドアが開く。
「寝てんの?」
歩みよる悠也。
バッと起き上がる私。
「うわっ! ビックリした!」
「ごめんっ! 悠也っ! 撮影中に邪魔して」
「別に。ハプニングはある事だから」
「本当ごめんっ! 大丈夫だった?」
「気にするな!それよりお前の方が気になってたんだけど、何かあった?」
「彼氏に……同居してる事がバレた……」
「えっ!? バレた?」
「うん……名前は出してないんだけど……」
「一部しか知らねーのにおかしくないか?」
「私が咄嗟に出た嘘が調べられたかな?」
「もしくは以前来た彼女がバラした? ……ここにいるられるのも時間の問題かな?」
「悠也……?」
「……俺……出て行った方が良いのかな?」
「えっ? だ、駄目だよ!」
「朋華?」
「だって……何かあったら誰が慰めてくれるの? 誰が私の傍にいてくれるの? だからいてもらわなきゃ……」
ベッドに腰をおろす悠也。
スッ
私を抱きしめる悠也。
ドキン
胸が高鳴る私。
「約束だもんな。何かあったら傍にいるって……」
「……悠也……」
「出て行かねーよ」
私は悠也の胸に顔をうずめた。
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