エピローグ

「伝えないといけないことって、なんですか?」


 私の問いに、その人はこう言った。


尾行つけ。そのことに気付いたから、僕は君にそれ伝えないとと思って、君を車で追いかけてたんだよ」


「えっ?」


 つまり?

 それって、どういう?


「ほら、今も、そこに」


 その人は振り返らず右手の親指で、小さく後ろを指し示す。


 私は、

 つい、

 そちらを見た。

 見て、しまった。



 視界の先、電柱の影で――

 









 ――刃物か何かが、と月明かりを反射させた。


(了)

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今日ひとりで下校するのが、ちょっとだけ、嫌になる話。 江田・K @kouda-kei

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