浮遊する声

どこからともなく声がした

もしかしたら風の音


また声がした

まわりを見渡しても誰もいない


そしてまた声がした

これは確かに声だった


その声にじっと耳を傾ける

どこにいるのか分からなかった


とても暗い部屋

見覚えのない部屋


窓から微かに月のあかり

とても弱いおぼろげな光


とても悲痛で

わたしの胸が締め付けれれる


わたしに向かって訴える

凄烈に落ち着かせなくさせる


寂しいのかい?

苦しいのかい?


その声の色が変わった

底なしの黒から思いのある黒に


大丈夫だよ

大丈夫なんだよ


その声がふるえるだした

凍てついた固まりから解放されるように


その声がわたしに忍びよる

わたしの胸に入り込む


寂しかったねえ

苦しかったねえ


その声は激しくふるえだす

思いを吐き出すように嗚咽する


大丈夫だよ

大丈夫なんだよ


わたしはその声をきつく抱きしめる

その思いはどこから来たのか


それは誰の声なのか

何の声なのか


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