「いやっほう」


「終わった。終わったのね」


「お前の力があってこそだ。まさか化け物に命令系統を作り出してシャープ化させて、その上で、作った命令系統を攻撃して壊すとは」


「これがほんとの、上意下達命令ブレイクダウン、ってね」


「これで安泰だ。しばらく化け物は出てこない。なんせ、虚無の中にではなく、命令系統の存在する実在になっちまったんだからな」


「あなたのおかげよ。あなたがいなかったら。私は、ここまで来れなかった」


「つかれた。ひさしぶりにがんばったよ俺は」


「あなたは。私のために。がんばってくれる。ありがとう。本当に。好きよ?」


「好き、ねえ」


「インフラと同じぐらい好き」


「なくなったらお前死ぬじゃねえか」


「しぬわ。あなたがいないと、耐えられない」


「愛の告白と受け取っていいかな?」


上意下達命令ブレイクダウンよ。私はあなたが好き。好きなの」


「じゃあ、とりあえずビールで。喉渇いた」


「口移しで呑ませようかしら」


「やめてくれ」


「答えは?」


「上意下達なんだろ」


「答え」


「ビールを持ってきな。俺のために。これからもずっとだ」


「なによ。亭主関白じゃないの」


「とりあえず後で、ビールサーバ買いに行くか」


「うん」


 彼女。腰をふりふりしながら、サーバからビールを取り出している。その嬉しそうなしぐさを、眺めていた。


 彼女を守るためになら、闘える。例え相手が、海も陸も関係のない、化け物であったとしても。それでも。闘い続けられる。


「ここから先も。ずっとだ」


「うん?」


「いや、なんでもない」

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F 春嵐 @aiot3110

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