第43話 44.雨音はショパンの調べ崩れ簗

ワード44は『ショパン』だという。

 ショパンの作曲した曲名を引っかけて作るくらいしか思い浮かばない。ショパンの肖像や、像が建っている公園、ショパンの手のブロンズ像の展示を最近CMで見たような気もするが、それらを取り入れればもっとおもしろい句ができたかもしれないと思う。

 ショパンはきっと女にもてたのだろうなと思いながら、そういうショパンのピアノ曲が響いてくる情景ばかりを想像していた。それは不思議と、小学校の桜の樹のすぐ近くにある二階の音楽室であり、幼稚園のころ住んでいた長屋団地のなかの、一件だけアップライトピアノを持っていた家の薄暗い部屋だったりする。

 今回、そうした想いを句に託すこともなく、ただただ字面の面白さ、二物衝撃を試すつもりで作ってしまった。いいわけはこれくらいにして俳句を記す。


 鮟鱇鍋せんとショパンのポロネーズ

 (鮟鱇鍋せんと大きな机かな 岸本尚毅)

 霜月のショパン英雄ポロネーズ

 子のショパン仔犬のワルツ小六月

 年流るショパン三つのノクターン

 短日をショパンの楽譜めくるのみ

 春隣りショパンのワルツ弾き続け

 おでん食ふショパン幻想即興曲

 冬めくショパン葬送行進曲

 寒燈やショパンにレント・コン・グラン・エスプレッシオ


そして表題句は

雨音はショパンの調べ崩れ簗

今回はこれで。


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