豪本土戦

1977年1月9日 オーストラリア タウンズビル近郊

 この日、タウンズビルの海は灰色に染まった。大量の日本軍の輸送艦が沖合に姿を見せていた。

 「敵兵は?」

 「目視で確認する限り見えません。」

 「そうか。それでは全軍上陸せよ!」

 その声と共に大量の輸送船が海岸に殺到する。

 「全員上陸できたようだな。それではタウンズビルとケアンズを占領するぞ。」

 「「「おー!」」」

 

同日 オーストラリア軍司令部

 「…状況は分かっているな?」

 「はい、数時間前に日本軍がタウンズビル近郊に上陸。既にタウンズビルは陥落し、ケアンズも時間の問題です。」

 「援軍を出そうにも数日前の艦砲射撃で鉄道は使用不可。海も制海権が取れるか怪しいです。」

 「空軍はどうだ?」

 「幸い、敵が展開している空軍は少ないです。その為、爆撃で敵の進軍を遅らせてその間に軍を出撃させます。」

 「そうか。それでh」

 「報告です!」

 「何だ…こんな時に…また上陸か?」

 「いえ、それが…国内で大規模反戦デモが発生!既にシドニーは制圧されています!」

 「クソッ政府は何をしている!国民のコントロールするのはアイツらの仕事だ!」

 オーストラリアは外部からではなく内部からも攻撃を受けるようになった。これによって、オーストラリアは一気に崩壊することになった。また、オーストラリアの崩壊ぶりを見たニュージーランドは1月17日に単独講和。ニュージーランド海軍を気にしなくてもよくなった日本海軍はタスマニア島やメルボルンなどオーストラリア南部に上陸。防衛するオーストラリア軍を撃滅し、奥地へと進む。首都キャンベラは20日に陥落。その後はアデレードに首都を移したが、連日の爆撃や艦砲射撃により、広がるのは瓦礫の山ばかりで完全に名目上だけの首都であった。


1977年3月29日 オーストラリア ウルル近郊

 「あそこが敵最後の拠点か。」

 「ああ、もう、無駄な悪あがきだが。」

 「偵察隊の情報によると、敵兵は僅か2万2000。たったのそれだけです。」

 「…オーストラリアはもうそこまで落ちぶれたのか。まあ、いい。全軍、行動開始!」

 突撃―万歳!

 無数の万歳ボイスがウルルこだまする中、ウルル山頂

 「…もう逆転は無理だな。」

 「だが、我々は最後まで戦う!」

 「ああ、私はオーストラリアで生まれ、母国のために全力を尽くしてきた。母国のために死ねるのなら本望だ。」

 ズドーン

 「第一防衛ライン、突破されました!」

 「予想されていたことだ。別に驚きはしない。」

 ドカーン

 まるでチリのように散っていくオーストラリア軍。そして、遂にすべての防衛線が突破され、残るは臨時司令部のみとなった。

 「…終わりだな。」

 「……それでは最後に国歌でも歌うとするか。」

 ~国歌斉唱中~

 「見つけた!ここが敵s」

 「待て、オーストラリア国歌が聞こえる。せめて最後の斉唱は安全にさせてやれ。」

 「あ、ああ。」

 そして、斉唱が終わると日本軍が一斉に突撃。首脳部を全員捕虜にし、オーストラリアは4月2日に降伏した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る