ダーウィン市攻撃

 1976年11月10日 日本占領下 トラック諸島

 「うむ…どうするべきか…」

 日本軍南部方面を総括する永田中将は悩んでいた。それは、オーストラリアについてであった。アメリカ本土を攻撃しようとすると、オーストラリアが横腹を刺してくる。それを予防するために先に滅ぼしてしまおうという考えであった。しかし、彼らの激しい抵抗で本土上陸どころか領海・領空侵入すらできなかった。それどころか反撃でポートモレスビーが陥落してしまうほど彼らの抵抗は凄まじかった。

 「うーん、一旦、本土近くにおびき寄せて、そこで殲滅するか…」

 そんな独り言を言っていると、突然、ドアが開かれた。

 「なんだ?何かあったのか?」

 「は、はい。実は、1時間ほど前にインドネシアがオーストラリアに対して宣戦布告しました!」

 (インドネシアがこちら側についた――勝った。勝ったぞ!彼らと協力すればオーストラリアを落とせるかもしれない!)

 その考えに至った中将は、インドネシア政府に海軍の入港権を日本政府に要請させた。そして、14日に日本がインドネシアに要請。翌日に許可が出て、日本海軍の軍艦が次々とインドネシアの軍港に入港する。

1976年12月1日 インドネシア 某軍港

 「うわあ…さすがは海軍大国…とても強そうだぜ…」

 「日本が味方側でよかったよ…」

 「おい、出発だとよ。」

 「ああ、行くか。」


 1976年12月6日 オーストラリア ダーウィン市近海上空

 「…港に敵船確認。空母1、戦艦1、巡洋3、駆逐3か…陸軍基地と空軍基地のほうは?」

 「ダーウィン市中心街から1.9キロ東に空軍基地あり。また、そこから800メートル南に陸軍基地あり。」

 「そうか、それでは偵察結果を報告する。まもなく攻撃が開始されるだろう。早く離脱しろ。」

 「了解!」


 数時間後… ダーウィン港上空


 「こちら、隊長機。目標上空に到達した。これより攻撃を開始する。」

 「了解。」


 その声と共に、大量の爆弾が軍艦に落とされる。豪海軍は対空戦闘を行うも、全く歯が立たず、ダーウィン停泊の艦隊は壊滅。また、陸軍基地と空軍基地にも爆弾が落とされ、基地としての機能を喪失。これにより、ダーウィンは事実上無防備となった。その隙を逃さないはずもなくインドネシア陸軍10個師団が上陸。血を流すことなくダーウィンを制圧した。本土への上陸の対応のためにオーストラリア軍はニューギニアから部隊を撤退しなければならなかった。しかし、日本海軍の潜水艦隊がポートモレスビー港を強襲し、艦隊の全滅と引き換えに港を破壊し、寄港していた豪海軍東方艦隊を半壊させた。その後、西から攻めてきたインドネシア軍がポートモレスビーを占領。同日、在ニューギニアのオーストラリア軍は全面降伏した。

 

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