皇國本土ヲ防衛セヨ

1976年1月1日

 日本は史上最悪の正月を迎えた。日の出とともに西日本と日本海沿岸はチェンマイ条約機構空軍の爆弾で焼き尽くされ、特に呉や舞鶴・佐世保といった軍事的に重要な都市は他の都市の2倍ぐらいの爆弾が降り注いだ。東日本には自由連合により無数のミサイルが放たれ、主要都市に着弾し、焼け野原にした。更に、樺太に敵の上陸を許してしまい、幾つかの基地が占領されるなど、敗退を続けていた。日本は初動対応に遅れ、18日には樺太全土が陥落してしまう。「次は北海道だ」そう確信した日本空軍は独断の作戦を行う。


 1976年1月20日 宗谷海峡

 西オホーツク海軍とカムチャッツカ=マガダン連合海軍は合同で北海道侵攻を行っていた。

 「残り距離半分。全然敵が現れませんね。」

 「罠じゃなければいいのだが…」

 そんな彼らの遥か上を日本空軍の爆撃機が飛んだ。

 「敵襲!総員直ちに対空戦闘に移れ!」

 「クソッ、早すぎる!」

 「艦載機、発艦せよ!」

 大量の艦載機が爆撃機を追いかけるが、爆撃機の速度はそれをはるかに上回る。

 「我々を無視した…?まさかっ!奴らの狙いは本国か!すぐに電信をつなg」

 「司令!ニコライフスクにて謎の爆発!同様のものがペトロパブロフスクでも確認されています!」

 「なん…だと…」

 そう、日本空軍が使用したのは核爆弾…もっと厳密にいえば原子爆弾だ。この世界の日本は核攻撃を受けていないため、核に対する恐怖がとても薄い。それ故に日本が核を持てたのだ。

 「全艦針路を北に執れ!攻撃を受けている本国の救援に向かう!」


 同時刻 日本空軍北部空域総司令部 函館

 「状況は?」

 「すでに二都市に投下。残りはマガダンとヤクーツクです。」

 「そうか。奴らの根拠地を叩けば、白旗を上げるだろう。」

 

 この数時間後マガダンとヤクーツクにも原爆が投下された。もちろんこの後空軍上層部は総入れ替えをさせられてしまった。だが、これにより、北方は一時的に安全になった。反攻作戦をするなら今の内だと思った陸海軍は合同で敵本土上陸を敢行する。


 1976年2月5日 オホーツク

 「全軍作戦行動開始!」

 「突撃ぃ!万歳!」

 無数の万歳ボイスがオホーツクにこだまする。その音の主たちは障害物を利用して敵を倒していった。そして、オホーツク占領後、彼らは北へ向かい、敵臨時首都のオイミャコンを占領した。これにより、カムチャツカ・マガダン連合は降伏した。さらに、翌日には西オホーツク社会共和国も降伏。これにより、チェンマイ条約機構の北方に大穴を開けることに成功する。当然、そのチャンスを見逃すはずもなく、大量の日本軍がヘイロン川を越えて長春政府領へ進軍する。

 

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