第361話 転生したらゴブリンやった 2
普通に考えてこの森のゴブリンの危険度が上がったら討伐隊とか組まれるんちゃうか、少なくとももっと強い冒険者が来る可能性はあるやろ。
どないしよかな…、今さらゴブリン達に人間を襲うなってのは無理っぽいもんなぁ。襲いたい奴が強い冒険者に返り討ちにあうんはええんやけど、仰山の討伐隊が森中のゴブリンを殲滅しに来たらシャレならんしな。
まずは見張りの配置やな。
冒険者が来る方角はほぼ同じということは向こうに人間の大きい街があるんやろ。討伐隊が来るのも向こうからのはずや、見張り置いとけばすぐ分かるやろうし逃げることは出来るはずや。
次は棲み分けかな。
冒険者は中心部の廃屋を目指す。だから廃屋から街があるやろう方角に扇状に広げた一帯を人間襲いたい過激派の生活圏、その反対側で狼の縄張りでない一帯をのんびり暮らしたい穏健派の生活圏に。
ワタシは過激派の生活圏にいることが多い、人間襲いたいわけちゃうけど情報は欲しいしな。
そうそう、冒険者が廃屋を目指す理由が分かってん。ボス扱いされるようになったら、廃屋に住まないのか聞いてくるゴブリンがおるねんけど、どうやらこの森のゴブリンでボス的な存在が現れたら廃屋を塒とするらしい。ワタシはせんけどゴブリンのボスが子分の持ち物を献上させたりしとったら廃屋に貯まるわけやから、お宝がある思って冒険者が目指すのも分かる。ガラクタばっかりやろうけど。
しばらくしたけど討伐隊や強い冒険者はまだ現れてない…ないんやけど見張りの配置と棲み分けを行った結果……冒険者の撃退率メッチャ上がってもうてんねん!?
これに関しては理屈は分かる、今まで分散していたゴブリンを棲み分け、行動範囲を限定し見張りを配置した結果、予想通りの範囲に冒険者が現れたら集まるゴブリンも増える。新米冒険者対ゴブリンの数が1対4なら追い返せる、1対8なら倒せる。冒険者は一人で来ることは少ないけど、平均をとれば三人弱かな。つまり棲み分けを行ったから冒険者が現れた場所に平均12匹以上のゴブリンが直ぐ集まる状況になってん。
さらにゴブリン達はワタシの指示のお陰だと思ってて忠誠心が上がってんねん。頼りになるボスが現れてゴブリンの天敵である冒険者を倒せたらヤッホイ!ってなるわそりゃ。
でもこれほんまゴブリン殲滅ルートあるで。どないしよかな…?
私が頭を悩ましてたある日。
見張りのゴブリンが慌てた様子で私の所に来た、なんでもデカい怪物が暴れてるらしい。ロウタロウに乗って現場に言ってみると確かにデカい怪物がいた。人間ではない、肌の色がゴブリンに近い緑色。でもゴブリンにしてはデカ過ぎる、人間にしてもデカいけど。
怪物はゴブリンを食べていた、一瞬ゴブリンを主食とする怪物なのかと思ったけど、注意深く観てると、不味いけど腹減ってるから仕方なく食べる、みたいな意思が伝わってきた。ゴブリンやないにしても近い種族なんかな。
とりあえず意思疎通を
ワタシは怪物を廃屋に案内する、殺した冒険者を集めてんねん。ゴブリンも人間の肉は食うねんけど好みやないんかあまんねん、ワタシは人間食えへんから残さず食えとか言えんしな。
人間を腹いっぱい食った怪物は機嫌が良くなって色々教えてくれた。
まず怪物はトロールらしいわ、言われてみたらそんな感じや。故郷やと食うもん取り合いになるから旅に出てんて。で適当に歩いてたらここに着いたんやと。
そんでトロールが今後も肉食えるか聞いてきた。ここにいすわるつもりか?食う物に困らん場所探してたんならそうなるか。
どないしよか迷った末…、ワタシの言うことに従ってくれるなら食える、と伝えたら、簡単に応じてくれた。
頭悪いなコイツ、力関係からしたらこっちが従うしかないはずやのに。
何はともあれ強い味方が加わった。
トル君の活躍の場はすぐに訪れた、7人の冒険者が森に入ってきたと見張りが知らせに来た、しかも馬もおるらしい。
とうとう討伐隊が来たかと思ったけど、数が少ない気もする。
ワタシはトル君とゴブリン20匹を連れて現場に向かう。
現場は戦闘中で冒険者達はゴブリンだけなら対処出来てたけど、トル君が乱入したことで形勢が逆転する。
やっぱトル君強いわ、ショボい冒険者なんか三人がかりでも相手ならん。
ワタシがゴブリン達に指示を出し、一人も逃がすことなく勝利した。
でもおかしな…なんでこいつら馬車で森の中入ってきてんねん…?。
馬車の中メッチャ物積んどる……、こいつら商人ちゃうんか!武装しとったけど護衛はおって当然やし、なんで森に来たんかは分からんけどゴブリンが目当てではないやろ。
ゴブリン達は物いっぱいでヤッホイ!トロールも肉いっぱいでヤッホイ!てなってるけど、
これ、ほんま不味いことなったんちゃうか…。
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