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「おしっこ」
「はいはい。トイレだね。おいで」
「抱っこして」
「よいしょ」
「といれ」
「はい。着きましたよ。ひとりでできますか?」
「ぬがせて」
「はい。どうぞお座りください」
「やだ」
「え」
「座らないで、する。支えて?」
「え?」
「はやく」
「ええっと。こう、かな」
「ふとももを持って。そう。そんな感じで」
「うわ操作むずかしい」
「いきます」
「どうぞ」
「拭くので、そのままの体勢でおねがいします」
「あ、拭くのは自分でできるんだ」
「ばかにしないでください」
「ごめんなさい」
「もうむり。はずかしい」
「え?」
「はずかしい。ごめんなさいはずかしい。むり」
「どういうこと?」
「あなたのお友達のお医者様に言われたの。あなたは、こういうのが、好きだから、こうすれば、好きになってくれるって」
「なんの話?」
「あなたはファンタジーの生き物が好きで。世話の焼ける子供みたいなのが好きって。教えてもらったから」
「あの野郎。今度会ったらただじゃおかねえぞ」
「違うの。私が知りたくて。あなたに好きになって、もらいたくて」
「うん。安心したよ。ほんとに。よかった」
「え?」
「あなたが普通で。俺は嬉しい」
「え。え。なんで。なんで泣いてるの。ごめんなさい」
「いや。ごめんごめん。勝手に思い悩んだ俺が、ばかだった」
「なかないで。おねがい」
「大丈夫。泣かない。もう大丈夫です」
「といれっとぺーぱーでよければ、どうぞ」
「いや、それより、はやく拭いていただけると私の腕が疲れなくて済むんですが」
「あっごめんなさい。いま拭きます」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「降ろしますね。よいしょ」
「自分で履きます」
「はい。どうぞ」
「ほんとに、その。ごめんなさい」
「あなたが何事もなかった。それだけで、俺は、充分です」
「ほんとうに、そう、ですか?」
「ええ。これ以上のことはない」
「やだ」
「え?」
「わたしはいやです。もっと仲良くなりたい。そのために好きなものを訊いたりしたのだから」
「どういうこと?」
「適度じゃない愛を。ください」
Love, アンマイクロリミテッド 春嵐 @aiot3110
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