草凪澄人の選択⑤~神域からの帰還~
澄人が神域から帰還しました。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
目を開けると、そこには見覚えのない白い天井が広がっていた。
自宅の布団で寝ていないことだけは確信を持ちつつ体を起こす。
「フカフカのベッドだけど、ここは……ん?」
自分に掛けられていた布団をどかそうとしたら、なにかに触れた。
視線を横に向けると、ベッドへうつ伏せになりながらリリアンさんが眠っている。
彼女の頬には涙の跡が残っているし、少し腫れているように見える。
「……普通に神域から出してくれればよかったのに」
わざわざ俺の意識を飛ばすなんて方法を取られるとは思わなかった。
おそらくリリアンさんは意識を失った俺を発見し、こうして看病してくれていたのだろう。
申し訳ない気持ちを抱き、彼女を起こさないようにベッドへ座り直す。
(落ち着いた今のうちに報酬の確認をしておこうか)
異界ミッションの報酬を一気に渡された気がする。
一体何を貰ったのか過去のログを表示して詳細を眺める。
「ミッションの開示と……苗木? それに大神実命って?」
最後の報酬はなんなのかわからなかったため、アイテムボックスを開く。
どれが大神実命なのか見つけると、葉っぱの付いた桃が【大神実命】と表記されている。
「桃が一番良い報酬? 普通の桃じゃないんだろうな……」
大神実命という桃の説明を見ると、俺は目を疑った。
――――――
神器:大神実命(オオカムヅミ)
説明:あらゆる災厄を払う
――――――
「不幸な出来事が起こらないようにするって……どんな効果だ……」
神器なので運命に作用して不幸を避ける効果があるらしい。
しかも、使うときには神気を消費するだけなので、なくならないようだ。
(不幸な人に使えばいいのか……苗木はどうすればいいんだ?)
世界樹の苗木の詳細も確認すると、こちらにも文字が表示された。
――――――
苗木:世界樹の苗木
説明:植えて育てると世界樹になる
――――――
「説明が雑すぎる……世界樹を育てられるって……」
どうやら苗木を植えることで育てることができ、最終的には世界樹になるようだ。
ちなみに成長させるには神気を与え続ける必要がある。
なぜ報酬としてこれが渡されたのか頭を悩ませても答えが出ない。
考えるのを後にして、異界ミッション9へ視線を移す。
【異界ミッション9】
瘴気発生の原因を解決せよ
成功報酬:???
「瘴気ってモンスターの元? だったよな。詳しい説明聞いていないんだけど……」
ミュルミドネスが瘴気暴走させていたと言ってはいたが、根本的にそれが何を示していたのか不明なままだ。
(謎を残したまま放り出さないでほしいよな……嘆いても仕方がないか)
もう少し詳しく説明してほしかったと感じつつ、すべての画面を閉じてからステータス画面を出す。
【名 前】 草凪 澄人
【神 格】 10/10
【体 力】 80,000/80,000
《+1000:500,000P》↑
【魔 力】 100,000/100,000
《+1000:1,000,000P》↑
【攻撃力】 SSS
《1UP:10,000,000P》↑
【耐久力】 SSS
《1UP:10,000,000P》↑
【素早さ】 SSS
《1UP:10,000,000P》↑
【知 力】 SSS
《1UP:10,000,000P》↑
【幸 運】 S
【スキル】 フィノ召喚・メーヌ召喚
親和性:雷S・剣B・氷B
神器A・神性S
鑑定 思考分析Ⅵ 剣術Ⅵ
治癒Ⅵ 天翔Ⅵ 天翼Ⅵ
捕食(極)ワープ 永遠の闇
グラウンド=ゼロ
神の祝福(極)
翻訳 金剛の意思Ⅵ
尽力の一撃Ⅵ
強者の威圧Ⅵ 要塞の心得
かばう 以心伝心 侵食
【従 者】 白間輝正・楠瑛・リリアン
(3/3)
【貢献P】 23,200,000
貢献ポイントがどれくらいもらえたのか見ようとしたら、神格が【10】になっていることを改めて実感した。
ポイントも二千万もくれており、神域に行っただけなのに大盤振る舞いされている。
(スキルの熟練度を上げないとな。神格が10になったから、上限が開放されているはずだ)
ポイントを振り分けてスキルの熟練度を上昇させていく。
その最中、俺の作業を遮るように小さな画面が表示される。
【連絡】
従者の楠瑛が連絡を求めております
許可しますか?
《許可》《拒否》
(楠さんから連絡? 珍しいな、なんだろう?)
輝正くんは度々この機能を使って連絡をくれていたが、楠さんは数えるほどしかない。
誰かの身に何かあったのかと思い、慌てて許可をすると、怒っているような楠さんの声が届いてきた。
『今どこさいるの?!?』
本当に焦っているのか、普段は隠している方言が出ている。
嫌な予感が当たってしまったと後悔しながら、俺は急いで返事をする。
『異界だけど、なにがあったの!?』
『異界!? 今日は三年生の追い出し会があるって聖奈から聞かなかった!?』
『追い出し会?』
そんなことは一度も聞いていないけれど、異界に来る前に聖奈が俺へ何かを伝えようとしていた気がする。
しかし、その時は血縁関係のことで頭がいっぱいだったため、逃げるようにワープをしてしまった。
(聖奈の話はこの件だったのか)
あの時しっかりと話を聞いていれば、こんなことにはならなかっただろう。
『してさぁ、来られそうなの!?』
楠さんの慌てぶりからして、追い出し会で俺に役割が割り振られている可能性がある。
苦労を書けた三年生が主役の会なので、ここで行かないなんて不義理はできない。
俺はすぐに返事をして、会場へ向かおうとする。
『今行く!』
『待っているからね』
通信を切り、俺はベッドでうつ伏せになっているリリアンさんを見る。
全く起きる様子はなく、静かに寝息を立てていた。
「……これでいいか」
起こさないように布団をかけ直し、メモへ【看病ありがとうございました】と書き残しておく。
そのまま制服に着替え、三年生の追い出し会へ出席するためにワープを行う。
一応場を乱してはならないと考え、永遠の闇で姿を消しておくことにした。
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ご覧いただきありがとうございました。
次回の更新時期は【本当に】未定です。
更新を見逃さないためにも、この物語に興味のある読者さまは、ぜひ物語の【フォロー】をよろしくお願いいたします。
明日は厳しいのでご承知おきください。
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