救世主草凪澄人⑧~グリーンランド侵略戦~

澄人がグリーンランドの探索を始めます。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「まあ、とりあえず……絶滅してもらおうか!!」


 上空から観察した結果、こんなに大量のモンスターをちまちま相手できない。


 さらに、サラン森林の植物が生息している以上、何が起こるか不明確だ。


 グリーンランド上に存在するすべての植物とモンスターを除外したところで、文句を言ってくる人間はいないだろう。


 これらを相手をするのに、神の一太刀ではグリーンランドそのものを消し去ってしまうかもしれない。


(今回は加減ができるグラウンド・ゼロで殲滅だ)


 地形はボコボコになる可能性の方が高いけれど、そこはメーヌで治せばきれいに整地できる。


 俺はそう決めると、グリーンランド全土を見渡せるまで上昇してから魔法を発動した。


 ここまで広範囲への攻撃初めてのため、漏れがないように数十のグラウンド・ゼロを同時に展開する。


「──グラウンド・ゼロよ、すべてを吹き飛ばせ!!」


 俺が発動した瞬間、展開された幾多の魔法陣から赤い光がグリーンランドへ降り注ぐ。


 そして、俺が想定していた以上の爆発と轟音が鳴り響き、空気の震えがこちらまで届いてくる。


 地面からマグマが噴き出し、眼下に映るものすべてが紅蓮の炎に包まれた。


「んー……打ち漏らした地域はないな……」


 しばらく様子を見ていると、次第に各爆心地から煙が消えていき、元の景色が戻ってきた。


「殲滅できたか?」


 元通りの景色が広がっていく中で、俺は降下しながら生き残りがいないか入念にチェックを行う。


 グリーンランド全土へ隕石が落ちた後のクレーターのような、大地にぽっかりと大きな穴がいくつも開いている。


 これで生き残っていたらグラウンド・ゼロの破壊力に耐えられる敵なので用心が必要だ。


「よし、いないな」


 雷による察知で何の反応もないため、雷の翼でゆっくりと高度を下げて着地する。


 周囲は土が焼け焦げて、あれだけ茂っていた植物が何も残っていない。


「世界の終焉みたいな光景だな……」


 そんな感想を抱きながら、いくつもあるクレーターを眺めて苦笑いをする。


 ただ、俺はレッドラインよりも異界の植物が地球に存在した理由が気になって笑みが消えた。


(サラン森林の植物に間違いなかった……どうしてだ?)


 数週間前に撮影された衛星からの写真にはこんな植物は映っていなかった。


 考えられるとするなら、グリーンランドのどこかに異界ゲートがあり、そこからこちらへ根を伸ばしたことになる。


(グリーンランドに異界ゲートがあるのか? そんな話聞いたこと……あるはずないか)


 この土地ははるか昔から人類の手が届かなかった場所だ。


(異界のゲートがあっても不思議じゃない。問題はどこなのかだけど……地図には映らないんだよな……)


 境界の場所は反映されるのに、異界ゲートの場所は地図上に反映されていない。


 地道に見つけるのにも、グリーンランドが広すぎて時間がかかりそうだ。


「まあ、やるしかないか……レッドラインも潰していこう」


 俺はそう呟くと、メーヌで地面を修復しながらグリーンランドの地を歩き始めた。


◆◆◆


「レッドライン12ヵ所目……どれだけあるんだよ……」


 オーバーフローを起こしていた12個目のレッドラインを消滅させて、俺は地面に腰を落とし

た。


「大体全部回ったと思うけど……異界ゲートなんて全然見つからないじゃないか……」


 俺は文句を言いながらも立ち上がり、異界ゲート探すために再び足を進める。


 目的だった発生したばかりのレッドラインの場所は確認しており、あとは異界ゲートの場所を探し出すだけだ。


 それが一番難しく、グリーンランド全土を整地したにもかかわらず、まだ見つかっていない。


(地下にあるとしてもメーヌが見つけるし……どこなんだ?)


 歩いていた足を止め、腕を組んで異界ゲートがある可能性のある場所を考える。


 しかし、考えれば考えるほど答えが出ず、結局は何も思い浮かばなかった。


「どうするか……脅威と言えば脅威なんだよな」


 異常繁殖し、モンスターを生み出す森を放置するなんて選択肢は選べない。


 だが、これだけ探し回っても見つからないとなると、本当に存在するかも怪しく思えてきた。


(あのカラフルな森林を見間違うはずないから、どこかにあるんだろうけど……)


 確認のために写真で撮影しておけばよかったと後悔する。


「どうするかな……ん? なんだこの気配?」


 頭を悩ませているとき、遠くの方から異様な気配を感じた。


 海から這い上がってくるようないくつもの気配を察知し、俺はすぐに雷の翼を展開して空へと舞い上がる。


「なるほど! そういうことだったのか!!」


 気配を察知した場所へ来ると、俺は納得して思わず大きな声を出してしまった。


 俺が見下ろした先には数え切れないほどのアーミーアントの大群がいたのだ。


 それも、海から這い出てくるように押し寄せているため、異界ゲートも海の中にあることが予想できる。


「現われてくれてありがとう!! 俺の養分になってくれ!!」


 雷の放電をしながらアーミーアントの集団目がけて一気に急降下した。


 雷に触れたアーミーアントは動けなくなり、付与した捕食のスキルによって俺に吸収されていく。


「ふぅー……ごちそうさまでした!」


 あっという間にアーミーアントを殲滅すると、俺は満足げに海を眺めた。


「水中か……さすがに海中までは探索していなかったな……盲点盲点」


 メーヌでは海中にある異界ゲートは発見できない。


 反省しつつ、自分の魔力へ氷を付与しながら海に向かって進み出す。


(自分の近くだけ凍らせればいいか)


 海の中を自由に探索するため、魔力の濃度を高めて自分の周りにある海水を冷凍させながら進む。


「おっと、邪魔だ」


 正面からアーミーアントが海水の中を歩いて向かってきたため、氷漬けにしてから粉々にする。


 海面とアーミーアント押しのけながら進んでいると、異界ゲートを発見してしまった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ご覧いただきありがとうございました。

次回の更新時期は未定です。

更新を見逃さないためにも、この物語に興味のある読者さまはぜひフォローをよろしくお願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る