国際ハンター会議へ⑤~従者楠瑛~

楠さんが澄人の従者になりました。

お楽しみいただければ幸いです。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「今日はこの周辺を探索しましょう。翔、瑛さん、よろしくお願いします」


 2人にも探索の終わらないサラン森林の調査を手伝ってもらい、俺も別の方向へ向かって木の上を走る。


 アラベラさんが転校してきてから一週間が経った。


 聖奈と朱芭さんは俺との勝負で剣が折れたため、アラベラさんに治してもらったが、これからの戦いに不安があると言って、新調するようだ。


 戦いの発端となったアラベラさんの護衛には平義先生が任命され、誰も文句を言えなくなってしまった。


 天草部長の話では、アラベラさんと一緒の突入グループにしてほしいという要望が多くあり、頭を悩ましていたそうだ。


 検討の結果、アラベラさんは全員が異界へ突入する時以外は参加しないという方針になる。


 勝手に異界を調査している俺に関係があるのは楠さんのことだけだな。


 従者画面を開き、従者になってくれた楠さんのステータスを表示させる。


【従者一覧 2/2】

【白間 輝正】《情報》《交信》《召喚》

【楠 瑛】《情報》《交信》《召喚》


【従者情報】

【名 前】 楠 瑛

【年 齢】 16

【神 格】 2/4

     《上限+1:1,000,000P》

【クラス】 ノービス □

【体 力】 1,100(+10%)

【魔 力】 1,300

【攻撃力】 G

【耐久力】 F(+1)

【素早さ】 G

【知 力】 E

【幸 運】 E・

【スキル】 なし □


 神格2ではこれくらいだろうという能力値だが、従者効果で体力と耐久力が若干上昇していた。


 元々2だった楠さんの神格の上限を上げる際、必要な貢献ポイントが俺の2倍必要だということが判明する。


 職業も白間くんとは違い、楠さんは初心者という意味のノービスとなっており、スキルもない。


 その分楠さんには自由度がある。彼女には自分の求める強さを手に入れてもらいたい。


 俺にできる応援はこうして異界へ連れて来て神格を上げるための経験値を稼がせることと、取得可能になったスキルをポイントで買ってあげるくらいだ。


 今は上限を5に上げてあげた輝正くんを護衛にしており、彼でも手に負えないことがあったら《交信》してくれることになっている。


 それにしても素早さをSにしてから信じられないくらい早く動けるな。


 木の上を滑走する俺は、周りの景色が飛ぶように変わっていくのを客観的に見て、ハンターの能力の凄さを実感している。


 聖奈や朱芭さんも早いと感じたが、彼女たちの素早さはB程度なので、今の俺とは比較にならない。


 そんな速度で走っているにも関わらず、森を抜けることができないため、この大陸全体が森なんじゃないかと思い始めてきた。


 何日間探索をしているのわからない……それでも森の切れ目がないってことは……んん!?


 この大陸には森以外何もないと諦めかけたとき、数キロ先にモンスター以外の気配を察知した。


 それも、人のような気配が数人固まって行動している。


 相手にこちらの姿を見られないように永遠の闇を自分に付与し、探知した気配たちの姿が見えるところまで近づく。


 森が終わる……嘘だろう!? 人か!? 4人いるな……。


 俺が察知した気配が森の外におり、なおかつ人だと分かったことで警戒心が高まる。


 異界にこのような大陸があるという情報はなく、秘密を保持するために発見した人たちが俺のことを排除する可能性の方が高い。


 それにしてもあの防具はなんだ? 見たことがない……。


 木の上からこの森を見上げている人たちは防具に身を包んでいるが、ハンタースーツを着ていない。


 特にその中の女性が露出度の高い、ブラジャー兼防具のような服装をしていたため、どこの国がこのような装備を推奨しているのか疑問を持った。


 詳しく調べるためにゆっくりと近づきながら鑑定を行なったところ、俺は自分の目を疑う。


 名前が……あの言語だ……。


 名前以外の項目は普通に見えるものの、名前だけが地球上に存在しないあの言語で表示されている。


 会話の内容も聞き取れず、至近距離でスマホの音声入力を使っても、翻訳されずにカタカナで表示される。


 あらゆる可能性を考えていると、心臓の鼓動が高鳴り、額から汗が滴り落ちてくる。


 もしかして……異界には人が住んでいるのか?


 目の前で口論のように言葉を交わしている人たちは、外見上まったく俺たちと変わらない。


 異界に突入した人類がこちら側で発展を遂げたとすれば、この状況でも納得ができる。


 自分へそう言い聞かせ、高まった好奇心とともにせり上がってきた興奮を抑え込んだ。


 どこかへ行くぞ? 付いていこう。


 口論をしていた人たちは妬ましそうに森を見た後に背を向け、離れるようにこの場を立ち去る。


 数時間程その人たちの後を追っていった俺は、自分の結論に自信を持つことができた。


「街だ……」


 森へ来ていた人たちが城壁のようなものがそそり立つ、堅牢な作りの街へ向かっている。


 その人たちの横を歩く俺は、あまりの衝撃に立ち止まってしまった。


「アリテアス~~~~」


 ここがどこなのか調べるためにマップを開こうという意識を、耳に入ってきた情報が全部かっさらう。


 ここが……ミッションの指し示した目的地……なのか?


 そう認識すると、俺の前へいつもの画面が何事もなかったかのように表れる。


【異界ミッション5達成】

 アリテアスを発見しました

 スキル《翻訳》を授与します



【スキル情報】

 翻訳スキル

 知力SSのため全言語翻訳可能



【異界ミッション6】

 解放条件:開拓者への登録



【名 前】 草凪 澄人

【年 齢】 15

【神 格】 5/5

      《+1:1,000,000P》

【体 力】 20,000/20,000

      《+100:5,000P》↑

【魔 力】 25,000/25,000

      《+100:5,000P》↑

【攻撃力】 SS《1UP:1,000,000P》

【耐久力】 SS《1UP:1,000,000P》

【素早さ】 S《1UP:500,000P》↑

【知 力】 SS《1UP:1,000,000P》

【幸 運】 S

【スキル】 フィノ召喚・メーヌ召喚

      鑑定・思考分析V・剣術V

      治癒V・親和性:雷S・剣C

      天翔V・天翼V・捕食

      ワープ・永遠の闇

      グラウンド・ゼロ

      神の祝福・翻訳 □

【従 者】 白間輝正・楠瑛

【貢献P】 850,000


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ご覧いただきありがとうございました。

もしよければ、感想、フォロー、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。

大変励みになります。


次の投稿は10月28日に行います。

次回も引き続き読んでいただけたら嬉しいです。

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