清澄ギルドの今後⑨~境界防衛戦~
B級境界内で澄人がゲートを防衛しております。
お楽しみいただければ幸いです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
グラウンド・ゼロの詠唱を始めようとしたら、真紅に輝く魔法陣が俺の周囲に展開した。
何重にも展開する魔法陣へ俺の魔力を惜しみなく注ぎ込む。
大いなる我が力よ
滅びに至らせる壊滅の力を呼び起こせ
やつらのすべてを否定して
すみやかな滅亡をもたらす!!
グラウンド・ゼロ!!!!
詠唱が終わると俺の全身から赤い光が四方へ放たれ、迫りくるモンスターたちへ降り注ぐ。
――チュドーン!!
その音と共に赤い閃光が炸裂し、俺の視界一面に赤い光が広がった。
壁を揺らし、爆風が吹き荒れる中、俺は雷を展開して次の波に備える。
「上か!!??」
地面へ意識を向けていたら、上空から咆哮のような鳴き声をあげながらこちらへ近づいてくる気配を多数察知した。
「「「「ピギャゴオオオオオオオオ!!」」」」
空を見上げると火を吹きながら数えるのも面倒な量のワイバーンが急降下をしてきていた。
今回の境界は陸だけではなく、空にも注意を配らなければいけないらしい。
(空を飛ぶモンスターは翼を狙う!!)
空から迫りくるワイバーンを迎撃するために数千本の雷の剣を生成し、翼を狙って打ち出した。
――シュンシュンシュンシュンシュン
俺の背後から打ち出される剣が空気を切り裂きながら降下してくるワイバーンへ襲いかかる。
こちらに向かって急降下してきていたワイバーンの翼を剣が貫通し、あらぬ方向へそれていって地面に激突する。
剣を打ち続けてもすべてのワイバーンへ攻撃を当てることができず、討ち漏らしてしまった敵が俺の横を通り過ぎろうとしてきた。
「通さない!!」
雷の剣を握り締め、超高速でゲートへ向かうワイバーンを天翔で追いかける。
長い首を伸ばしながら降下してくるワイバーンの胴体を両断し、手に魔力を込めた。
「メーヌ、ここへ蓋をしろ!!」
上空からも侵入できないように四方を囲んでいた壁の上部へ蓋を作る。
蓋ができあがるまでの間に数体のワイバーンを倒した。
蓋が完成して穴がなくなると、急降下してきたワイバーンが翼を広げて降り立ってくる。
「ワイバーンも頭が無いわけじゃないし、自滅なんてしないか」
残り時間を見ると10分を切っており、遠くの方からは別の巨人がこちらへ歩み寄ってきていた。
明らかに今まで入ってきたB級境界とはモンスターの量が圧倒的に違いすぎる。
(本当にここはB級境界なのか!?)
陸や空から迫りくるモンスターたちに疑問を持ち、俺はもう一度境界情報を開いた。
【B級境界】
突入可能人数20名(▽)
フィールド:平原
消費体力:30/分
注意:突入人数によって出現するモンスターが変化します
(注意の項目なんてなかったのに! 入ってからわかるようになるのか!?)
今は通常の突入可能人数である20名がこの境界にいるので、モンスターが多く出現するようになっているのかもしれない。
ただ、そうであっても患者さんたちに戦わせるわけにはいかないので、俺は時間までこの量のモンスターを倒し続ける。
(このあとにA級境界もあるから《神の一太刀》は使えない……そうだ!)
俺は剣を作るのを止め、できるだけ広い範囲に雷を走らせ始める。
自分の魔力へ《捕食》のスキルを付与し、土の壁を覆うように帯電させる。
壁に密着していたモンスターや天井に立っていたワイバーンが溶け始め、俺のエネルギーに変換されていく。
さすがに巨人は全てを溶かしきれなかったので、精霊に頼んで倒し続けた。
「みなさん! 時間です! 外へ!!」
なんとかモンスターの波を押し返し、約束の15分を経過することができた。
土壁に穴を開け、中で待っていた患者さんたちに境界の外へ出るように指示を行なう。
全員が出たのを確認してから俺もゲートを通り、境界を脱出した。
【フィールドミッション達成】
防衛時間【21分37秒】
貢献ポイント63,000を授与します
(最近、普通に万単位でポイントをもらえるようになったな)
ポイントのインフレを感じながら境界を脱出して、外で待ってくれていたお姉ちゃんたちと合流する。
「澄人大丈夫?」
「平気。中で身を守るだけだったから、メーヌで壁を作ってひたすら耐えていたよ」
「そう……それならよかった……」
心配そうに俺の全身をチェックしてきたお姉ちゃんへ無事であることを報告する。
捕食のおかげで疲労もないため、患者さんたちの回復薬を補充したらすぐにA級境界へ向かいたい。
「回復薬を配りますね」
お姉ちゃんたちが俺の用意した回復薬を患者さんへ配布しているのを待っていると、見慣れない赤い画面が俺の前に表示された。
【従者緊急連絡】
従者である【白間輝正】が強く交信を求めてきています
許可しますか?
《許可》 《拒否》
(輝正くんになにかあったのか!?)
初めて見る画面に動揺しつつも、輝正くんの身に何かが起こっており、俺へ助けを求めてきているのですぐに許可を行なう。
《澄人くん!! 澄人くん!! お願い!! 届いて!!》
許可をした瞬間に白間くんの悲痛な心の声が俺へ届き、異常事態が発生していることがわかった。
《輝正くん、聞こえているよ。なにがあったの?》
一番高い可能性として異界で誰かが怪我をしたとか、以前のようにモンスターの大行進と当たったなどが考えられる。
自分の頭で考えられる可能性を思い浮かべながら輝正くんへ声を届けた。
《学校が大量のハンターに攻められているんだ! 先輩たちも戦っているけど、人数が多くて対応しきれてない!! 一般生徒にも被害が出てる!!》
「はぁ!?」
全く予想していなかった事態が起こっており、思わず声が出てしまった。
学校をハンターに攻め込まれているという輝正くんの情報が正しいものか判断ができない。
「澄人、急に大きな声を出してどうしたの? 準備終わったわよ?」
回復薬を入れてあった箱を持ったお姉ちゃんが首を傾げながら俺を見る。
お姉ちゃんなら何か思い当たる節があるかもしれないので、今聞いたことをそのまま話すことにした。
「お姉ちゃん、今連絡があったんだけど、学校がハンターに攻め込まれているらしいんだ。どういうことかわかる?」
「どこ!? 相手が分かると思うんだけど聞いた!?」
お姉ちゃんが持っていた箱を落とし、血相を変えて俺へ詰め寄る。
「いや……聞いてないけど……」
「今すぐ聞きなさい! 《学校抗争戦》を仕掛けられているのよ!!」
「学校抗争戦……くそぉ!!」
俺はお姉ちゃんから言われるまでそんなことが起こるとは微塵も思っていなかった。
(あんな昔の制度を今更使うなんて!!)
そうなってくると一分一秒が惜しくなり、慌てて輝正くんへ相手の確認をするために交信を行なった。
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ご覧いただきありがとうございました。
もしよければ、感想、フォロー、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。
大変励みになります。
次の投稿は9月13日に行います。
次回も引き続き読んでいただけたら嬉しいです。
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