草凪澄人の影響力②~対面式試合~
「言ってやったわ。あの人たち、お兄ちゃんを見ながら笑っていたんだよ!」
呆気に取られてほとんどの人が拍手をしない中、俺は手を鳴らしながら聖奈が怒りながら帰ってくる。
あの人たちというが、ここから50メートルほど離れており、本当に俺を見て笑っていたのかわからない。
「見間違えじゃなくて?」
「私、耳は良いし、そういうことには敏感なの」
自信満々に言い切る聖奈を見て、これで違ったらどうするんだろうと思ってしまった。
ただ、聖奈の挨拶で在校生の生徒が俺たちを見る目が変わったのは事実だ。
「そ、それではこれより交流戦を行いたいと思います。戦わない生徒は壁沿いへ移動をお願いします」
大多数の生徒が移動する中、少し離れたところにいる俺を笑ったと聖奈が言っている人たちがこちらを見たまま動かない。
人数を合わせてくれているのか、相手も5名しかおらず、ほとんどが緑色のラインが入った3年生だった。
(3年? これで?)
全員のステータスを見ても神格が2や3ばかりで、水守さんや草地くんがぎりぎり負けそうな能力という印象を受ける。
総合的にもビショップ級に届いている人は
これで俺に対して何を笑っていたのかわからないが、聖奈を戦わせたら一方的な戦いになるだろう。
(どうするかな……聖奈……あ、そういうこと?)
代表生徒をにらみつける聖奈に目を向けていたら、はるか後ろにいる新入生が何かを期待しているような顔をしていた。
在校生には俺の力を知られていないため、聖奈の言うとおりになめられたことをされたとしたら合点がいく。
(俺だけでやるか……これだけの人数がいるから、賞賛を得られたらシークレットミッション達成しないかな?)
もう俺の中で在校生5人を1人で相手にしようということを決めていたら、水守さんが数歩前に出た。
「作戦会議をしない? 5人一緒に戦うってなかなかなかったから、役割を決めましょう」
すでに陣形を整えている在校生に触発されたのか、水守さんが今までやったことがないことを提案してくる。
あの相手にそこまでする必要性を感じず、なぜか水守さんと距離を取る水鏡さんへ顔を向けた。
「水鏡さん、どう思う?」
鑑定を行える水鏡さんに声をかけることで、客観的に戦力の差を教えてくれると思われる。
そうですねと呟きながら俺と目が合い、ため息をついた。
「草凪くんの能力がわからないので、聖奈さんと同じと思って話をしますが……この兄妹2人だけでいいんじゃないですか? 私たち邪魔になりますよ?」
「そんな……」
水守さんが悲しそうな顔をすると、ばつが悪そうに水鏡さんが別の方向を向く。
答えが出たので、俺はステータスを確認しながら聖奈へ作戦を伝える。
【名 前】 草凪澄人
【年 齢】 15
【神 格】 3/3《+1:200000P》
【体 力】 8800/8800《+100:5000P》↑
【魔 力】 12000/12000《+100:10000P》↑
【攻撃力】 B《1UP:40000P》
【耐久力】 C《1UP:20000P》
【素早さ】 C《1UP:20000P》
【知 力】 A《1UP:100000P》
【幸 運】 C《1UP:20000P》
【スキル】 精霊召喚(火・土)・鑑定・思考分析Ⅰ・剣術Ⅰ・治癒Ⅰ
親和性:雷S・親和性:剣E・天翔Ⅱ □
【貢献P】 15000
異界へいけない間、治療Ⅰが応急処置を一定回数行うことでランクアップできたことで、他にも自分のスキルが上がらないのか確認をした。
その結果、天翔がⅡになり、空中で各足2歩進むことができるようになる。
他のスキルはまだランクアップできない代わりに、剣を使用し続けたことで、新しい親和性を手に入れた。
師匠が言うには、これが草凪流剣術の1歩目だそうだ。
その剣を主に使う作戦なので、聖奈は後方で待機をしてもらい、3人に被害が及ばないようにしてほしい。
もう、能力的にはクイーン級の一歩手前まできているので、相手の5人に後れは取らないと思うが、スキルまではわからないため、保険として聖奈に頼んだ。
「じゃあ、お兄ちゃん、私の剣使う? ミスリルで大丈夫?」
それを伝えたところ、聖奈が心配そうに自分の剣を躊躇無く俺へ差し出してくる。
「ありがとう、今日は全力で振らないから平気だと思う」
そうと呟いた聖奈は納得してなさそうに剣を引っ込めて後ろを向いた。
俺だけが競技場の中央へ向かうと、在校生がざわめきだす。
「試合を開始したいと思うのですが……このまま始めてもいいんですか?」
司会をしてくれている人が俺と後ろにいる聖奈たちを見ながら聞いてくれている。
準備をしていなかったので、アイテムボックスからミスリルの剣を取り出し、両手に魔力を込めた。
「準備の時間はいただけるんですか?」
「どうぞ……準備ができたら言ってください」
「ありがとうございます」
剣へ魔力を注ぎ込み、それを始点として全身を覆うようなイメージを持つ。
魔力を雷へ変換すると、剣や体に黄色い稲妻が走り始めた。
いつの間にかざわめきは止み、全校生徒が俺の行動を見逃さないように目を見開いているような気がする。
「いいですよ。始めましょう」
マイクの前に立っていた生徒も俺のことを見つめており、目が合ってようやく口を動かす。
「は、始め!!」
初手は相手に花を持たせようとしたら、後ろから殺気を感じ、見なくても聖奈が剣を握りしめて今にも飛びかかろうとしているのがわかった。
在校生は俺の雷を気にしつつも、走りながら杖を俺に向ける。
「ファイヤーボール!!」
数発の炎の弾が俺に打ち込まれたが、雷の鎧によって無力化してしまう。
それでひるんだ相手に向かって雷を払うように剣を振った。
「走れ
まだ剣の親和性では、魔力をまとわせるしかできないが、雷と組み合わせることによってこのように遠くの相手へ打ち出せることができる。
先頭にいた2人が感電で痺れて倒れるのを見ながら、使い切った剣の魔力を補充して再び雷をまとわせた。
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