これからの目標①~自己分析~

 朝ごはんを食べてから、椅子に座ってこれからのことを考えていた。


 家を出るために県外へでるという目標は消え、俺はこの草凪家でなにが起こっているのか知りたい。


(おじいちゃんはなぜか俺だけの記憶を封じたのに、こんな能力を用意してくれた……)


【名 前】 草凪澄人

【年 齢】 15

【神 格】 1/1《+1:10000P》↑

【体 力】 600/600

      《+10:50P》↑

【魔 力】 500/500

      《+10:50P》↑

【攻撃力】 E《1UP:5000P》↑

【耐久力】 F《1UP:1000P》↑

【素早さ】 E《1UP:5000P》↑

【知 力】 D《1UP:10000P》↑

【幸 運】 H《1UP:100P》↑

【スキル】 精霊召喚(火・土)□

【貢献P】 15000


 他の人には見えないステータスを表示させると、チュートリアル中に獲得した貢献ポイントが大量に貯まっていた。


(神格を上げて、残ったポイントで幸運とか上げられるステータスを上げるか)


【上昇値確認】

【神 格】1 ⇒ 2

【体 力】600 ⇒ 840

【魔 力】500 ⇒ 740

【耐久力】F ⇒ E

【幸 運】H ⇒ E

【貢献P】15000 ⇒ 0


【実行】


(これでも、D以上が2つないからポーン級のままか)


 ポイントをもう少し貯めて知力以外のどれかをDにしようかとも考えたが、安全を考えて体力と魔力を均等に上昇させることにした。


【重要】

 神格を上昇させます

 本当に実行しますか?


【実行】


 能力を上げるために実行しようとしたら、いつもとは違って神格のみ、再確認してくるような画面が表示される。


 それでも上げる気はなくならないので、実行をタップした。


「あっぐっ!?」


 実行した途端、胸のあたりが熱を持ち、全身が燃えるように熱くなってきた。


 同時に息が苦しくなるので、胸を両手で抱え込むように押さえて収まるのを待つが、俺の願いとは逆にどんどん身体が加熱されていく。


「ぐぅぅううううう……」


 息ができなくなったため、姿勢を崩して椅子から床に転げ落ち、胸を全身で抱えるように丸くなる。


「収まった……のか?」


 永遠に続くと思われた苦しみに開放されると、何事もなかったかのように体がすっきりとしていた。


 のどが渇いたので、冷蔵庫から取り出した飲み物を飲んでいたら、俺の前へ画面が表示される。


【お知らせ】

 神格が2に上昇したため、以下機能を解放します

 ・インフォメーション

 ・初級スキル解放

 

「はい?」


 初めて見た【インフォメーション】という表示を読んで、適当にステータスを表示してみた。


 幸運という項目が分からなかったので、ステータスを見ながらそう思うと、小さな画面が浮かび上がってくる。


【幸 運】:モンスターを倒した時、一定確率でアイテムボックスに戦利品が回収されるようになります


 今までステータス画面などが不親切すぎたのはこれが理由だったようだ。


 もっと早く神格を上げておけばと思いながらも、幸運の説明欄に書いてある文字で気になることがある。


「戦利品? って今も回収されているのかな?」


 青い草原で大量にモンスターを倒したが、戦利品が回収できているのか確認をしてみる。


(幸運……あの時上げておけばよかったな……)


 一番低ランクの状態ではあるが、スタンピードと呼ばれる量のモンスターを倒したので、何か入っていないか期待をしながらアイテムボックスを表示させてみた。


「嘘だろ……あれだけ倒して石ころ1個?」


 あれだけ倒したのに、アイテムボックスには石が1個表示されているだけだった。


 何の石なのか手を入れて取ろうとしたら、慌てたように新しい画面が表示される。


【注意】

 ここで取り出した場合、現在の能力では元に戻せなくなる可能性があります


「普通の石じゃないの?」


 アイテムボックスの上段に現れた画面は俺と会話をしているかのように内容が切り替わった。


【岩石の巨兵の核】

 青い草原の主を倒した者に贈られる物です

 見た目はただの岩石ですが、加工すると青く輝きます


「岩石が入っているのか……それはここで出しちゃだめだな……」


 アイテムボックスから手を抜いて加工をしてもらえる場所で取り出すことにする。


 次に何かのスキルを習得できるようになったというので、確認のためにステータス画面のスキル欄にある【□】を押そうとした。


――ピンポーン


 俺が□へ触れる直前に来客を知らせるチャイムが鳴るので、全部の画面を消して対応するために扉へ向かう。


「誰だろう?」


 時間を見ても、お姉ちゃんたちが俺の家を出発してから2時間も経っていない。

 扉ののぞき穴から誰が来ているのか見たら、知らない白髪まじりのおじさんが立っていた。


(……本当に誰? どうしよう)


 開けるべきなのか迷っていたら、再びチャイムが鳴らされ、ドアを叩かれ始めた。


「草凪澄人さん!! いらっしゃいますよね!? 私は草地といい、草凪ギルドに所属しております!! お話があってまいりました!!」


(絶対に出るのをやめよう)


 扉の向こうから聞こえる叫ぶ声から、これに出たらろくな事が起こらないと判断した。


(ギルドに所属しているってことは、この人もハンターなのか……扉は木だけど大丈夫かな……)


 鍵はちゃんと閉まっているので、扉を壊されないことを祈りながら帰るのを待つ。

 しかし、5分待っても相手は帰らずに叫びながら扉を叩き続けていたため、いい加減文句を言いたくなってきた。


(近所迷惑だし、これ以上叩かれたら扉が壊れる!)


 帰れと一言伝えるために立ち上がろうとしたら、ピタッと音や声が聞こえなくなる。

 そうやって扉の外を覗かせる作戦にしてきたのかと思い、静かに待っていたら本当に何も起きない。


「本当に帰ったのか?」


 俺が扉を恐る恐る開けたら、外には誰かがいるようには見えなかった。


 もう少し外に出て確認をしようとしたところ、足元に手のひらサイズの紙が1枚落ちている。

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