澄人の能力⑤~人生の選択~
勉強をすることなく布団へ横になり、自分の人生に悲観してしまう。
「どっちを選択しても俺にはこの街を出ることはできなくなる……」
最後にお姉ちゃんに話をされたのは、2つの選択から自分の人生を選べというものだった。
(1つ目はハンターとして生きることを決めた場合のこと)
ハンターとなった場合は、現在いるこの県で活動することになり、一定の階級に上がるまで原則として県外へ移住することはできなくなる。
来年のこともあり、ハンターになるのを断ろうとしたら、2つ目の選択肢を聞いて迷ってしまった。
(2つ目は……この県のハンターをまとめている【草凪家】の監視下に入ること)
今までも境界に入ってハンターにならない人もおり、その人たちはハンターによる監視を受けることになる。
なぜなら、境界に入った人は神格が上がっている可能性があり、一般の人では考えられないような力を発揮するという理由からだった。
ハンターでも罪を犯す人が出ることもあるらしいが、その場合についてのことは俺がハンターになったら教えてくれるそうだ。
(監視下に入った場合、監視を行いやすいように県外へ出ることはできない……どっちを選んでも、境界に入った時点で、俺は県外に住むことができなくなったのか……)
神格の成長枠が0のために能力を上げられない俺は、自由に行動できるようになる【ビショップ級】になることができない。
夏さんがくれたハンターの階級について詳しくまとめてくれた表を見ながら、自分の能力を思い出す。
【階級表:能力値目安】
ポーン級:F未満2つ、E以上2つ程度(初期ランクのため参考値)
ナイト級:F未満なし、D以上2つか、C以上1つ
ビショップ級:E未満なし、C以上2つか、B以上1つ
ルーク級:B以上2つか、A以上1つ
クイーン級:C未満なし、A以上2つか、S以上1つ
キング級:A以上3つか、S以上2つ
(俺の能力は全部G……一番下のポーン級の参考値にさえ勝てない……)
能力値は詳しく書かれていなかったが、階級が上がるにつれてFからSまでのアルファベットが記載してあるので、この順に上がっていくのだろう。
俺の能力が最低ランクのポーン級と呼ばれる人たちと比べても低い。
(そういえば、体力と魔力の値もハンター証には書いてあったけど……いくつだったかな……)
忘れていた2つの数値を思い出そうと自分の能力について考えたら、急に俺の前へ画面が表示された。
【ステータス】
【名 前】 草凪澄人
【年 齢】 15
【神 格】 1/1《+1:10000P》↑
【体 力】 50《+10:10P》↑
【魔 力】 50《+10:10P》↑
【攻撃力】 G《1UP:500P》↑
【耐久力】 G《1UP:500P》↑
【素早さ】 G《1UP:500P》↑
【知 力】 G《1UP:500P》↑
【幸 運】 H《1UP:100P》↑
【スキル】 精霊召喚(火)□
【貢献P】 10300
「これは……なんなんだ……俺のステータス? けど、ハンター証のものとはだいぶ違う……」
《》内に書いてあるものや、幸運、スキル、貢献Pなどハンター証に書いてなかった項目がある。
適当に魔力の横にある矢印を押そうとしたら、勝手に反映され、10P分だけ貢献Pの数値が減った。
(まさかこれは……)
俺は現在の貢献Pを余すことなく使用するように能力値を上昇させる。
最後に確認画面が現れて、今回増加した分の能力を見ることができた。
【上昇値確認】
【体 力】 50 ⇒ 150
【魔 力】 50 ⇒ 250
【攻撃力】 G ⇒ E
【耐久力】 G ⇒ F
【素早さ】 G ⇒ E
【知 力】 G ⇒ D
【貢献P】 10300 ⇒ 0
【実行】
(うーん……俺の知力が上がれば、精霊の力も効率良く使えるようになると信じてDにしてみたけど、耐久力を上げた方がいいかな……まあ、また貢献Pを集めればいいか)
ミッションで獲得した貢献Pがこのような形で使えるようになるとは思わなかった。
地道に窓拭きや草取りを行ったおかげでステータスを上昇できる。
実行と書かれている場所を押そうとしたら、確認画面が消えて【上昇完了】と表示された。
【ミッション達成】
初めて貢献Pを使用してステータスを上昇させました
貢献ポイントを授与します
ライフミッション以外の達成画面が表示され、実行できたことを通知してくれた。
ただ、体には何の変化もないので、本当に上昇しているのか確認する必要がある。
俺は布団から出た後にリュックからスマートフォンを取り出して、教えてもらった通り、電話帳に登録してあるお姉ちゃんをタップして電話をかけた。
(これで本当に能力値が変化していたら、俺はミッションをこなすだけで強くなれる)
お姉ちゃんは電話に出ず、留守番電話サービスというものに接続されたので、伝言を残すことにした。
「草凪澄人です。明日、お話があります。お時間のあるときに電話をください」
言い終わってから通話を切ると、俺が机へスマートフォンを置いた瞬間に電話がかかってくる。
(あれ? どうやって出るんだ?)
かかってきた場合のことを聞いていなかったので、どうすればいいのかスマートフォンの画面を眺める。
スライドと書かれていたので、指で丸い電話のマークをその方向へ移動させた。
成功したのか、スピーカーからお姉ちゃんの声が聞こえてくるので、スマートフォンを耳に付ける。
「もしもし、澄人? もう答えが出たの?」
「その前に、もう1度能力を測ってほしいんだけど、これから行ってもいい?」
「どういうことなの? 何度測っても結果は変わらないわよ?」
「確認したいんだ、お願い」
電話越しに聞こえるようにお姉ちゃんがため息をすると、まだあの部屋にいるのか、夏さんへ声をかけてくれたようだった。
夏さんはあの状態から復活していたようで、眠そうな声が聞こえてくる。
「準備はすぐできるけど、ここまで来られる? 迎えに行こうか?」
「大丈夫、今すぐ向かうね」
俺は通話を終えてから、あのビルに向かって夜の街を走り出した。
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