ボタン

阿佐ヶ谷ピエロ

ボタン

わたしは、迷った。このボタンを押すと、世界が闇に包まれると。

考えてみると、世界は、貧困、伝染病に、温暖化による気象異常など、あまりにも問題が多く、ほとんどの国でも、解決策が無い状況である。

そんな状況を目の当たりにして、わたしが決断せねばならない事は、この自分の目の前にあるボタンである。

わたしは、手に感じる汗を握りしめ、ボタンに手を伸ばす。少しずつ近づくこの世界の全ての現象の終了を思いながら。

「あなた。早くしてよ、スーパーのセール終わっちゃうわ。ニュースなんていつでもやってるでしょ。」

そして私は、そっとリモコンのオフボタンを押した。

       終わり

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ボタン 阿佐ヶ谷ピエロ @20060204

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