午睡

 目がこちらを向く。

 口々に何かを喚く。


 止めろ。

 お前等が理解できないだけだ。


 耳が開閉する。

 鼻に皺がよる。


 自分自身では何も考えない癖に。

 あれだけ喜んでいたのに。


 唾を吐きかける。

 悪意が流される。


 表面的な事に惑わされるのか。

 実際に何をしているのか見もしないで。


 突出して来る手。

 飛び交わす悪口。

 

 少し考えれば分るだろ。

 このきゃべつ頭どもめ。


 つままれる鼻。

 単語だけ拾う耳。


 何故そんなにも愚かなんだ。

 何故そんなにも愚かでいられるんだ。


 突き出される舌。

 解されない意味。


 餌が無ければ喚く、この家畜の群れどもめ。

 自分では何も考えず、全てを他人のせいにする無能どもめ。


 何も知らぬ自分を棚上げし、知った風な口をきく盲目の先導者どもめ。

 勝ち馬について行きたがろうとするだけで他に興味もない盲人どもめ。


 案山子の群れと獣の先導。

 四人の騎士に狩られてしまえ。


 それも他人のせいにするくせに。

 止めろ!触れるな!

 僕の事を何一つ理解しようともしない癖に!


 突然開かれた瞼の中では、赤に縁取られた黒い瞳孔が天井を見詰めていた。

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