煙が上がる。


 はぜる音。

 冬を越す為の木炭は、ここで腐臭を伴い消費される。


 ねちゃねちゃと泥濘んだ地面に穴が掘られる。

 スコップの先が何かに当たる。

 燃え残った頭蓋骨。

 未だ中途半端に筋肉が残っている。

 蠢く蟲と共に。

 上から黒い人形が落ちてくる。

 どさどさと。

 数え切れない。

 手が虚空に伸ばされる。

 上から液状の何かが撒かれる。


「エイメン」


 松明が放り込まれる。

 燃える。

 燃える。

 人の影。


 この下の土の下にも骸。

 燃える骸。

 骸と土塊。

 全ては塵に。

 土から来たのだから。


「あの女が居たぞ!」

「うちの子を返して!」

「こんな偽物をつかませやがって!」

「何が薬草だ!」

「お前がこの災厄を呼んだのだろう!?」

「人が苦しむのがそんなに楽しいか!?」

「お高くとまって見下しやがって!」

「前々からおかしいと思っていたのよ!」

「ウチの畑を呪ったでしょ!」


 無数に伸びる手。

 無数の棘。


 放たれる炎。



「止めろ!彼女は違う!」

 跳ね起きた額には、拭った筈の脂汗がべったりとついていた。

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