第12話
うわぁと思いつつお菓子をかじっている振りをしているとディアウォードの顔は青から蒼白になっていく。
「俺を見限るのか?」
「お前じゃなくてあの王子だ お前かりゃ見れば優しい優秀な息子かも知れんが 俺から見れば決断力が無い 国庫を圧迫してる母や妹に苦言の一つも言えん ヘタれだ」
敬語もなくキッパリと言うのを聞くとディスティニーは母がこの人に手紙を残したわけがわかったような気がした。
物事を人に流される事なく見れる人なんだと あと
気づかいもそれとなくはできるようだし。
ー不味い焼き菓子はいらないお節介だったけどー
まだ半分以上残っているものを紅茶で流しこみながら食べていると後ろからグゥと言う音がする。
それに反応して後ろをみるとカイザードが赤くなりながら失礼しましたと頭を下げる。
ディスティニーは食べていた焼き菓子の空いてないものを一つ取るとカイザードに渡す。
「私 甘い物って沢山食べれないから一つ手伝って貰えると助かるのだけどお願いできないかな?」
「え?で・・ですが 私は警護で・・」
「扉も閉まってるし 大きな物じゃないからそんなに時間もかからないでしょ? お願い」
にっこりと笑いながら渡すとはいといって袋を開けて二、三口で食べきる。
「ありがとうー 助かっちやった」
「いえ ご馳走さまでした。ありがとございます」
それを見てゼフェルがあぁと声をあげる。
「アルフィージ様もこの様によく食料が渡らない兵士に自分はこれが苦手だと言ってはお譲りになっておられましたな・・」
「そうだな 自分はそこまで動かないからと言っては肉やパンは人に渡して薄いスープばかり飲んでた」
それをきくとごめんなさい 私は母様とは違い
不味いこれを完食するのはむりたまから押しつけただけです。と心の中で思う。
「お前の息子だったら 食堂に行って食事をしてきたらいいよ 警護は他に頼むからとかいうだろ?
一見 優しい言葉だがなそれやりゃ騎士から外され
断れば不敬だ 優しくなんてないんだよ」
それを聞くとまた黙り込みはじめる。
「都合が悪くなると黙り込みばかりなんだ」
しまったと心の声がつい出たーーと思って慌ててお菓子で口を塞ぐとランティスがぶっと吹き出して
ゼフェルも笑いを堪えられなくなったのか大笑いをはじめる。
「子供でも思うくらいヘタれって事だな 一晩俺らが言った意味 よーく考えろよ ディニー様 取り敢えず今日は我が家へ」
「まてまて お前の家だと側妃に筒抜けになるだろうが 姫様 この爺と妻しかおらぬ屋敷ですが今晩は我が家にご逗留下さい」
ゼフェルにそう言われるとあーといいながらあいつがなぁと呟く。
そしてソファーの後ろに立っているカイザードのほうを向くと表情をかえる
「ここであった事は一切他言するな。ドレスも俺が
持ってこいと言っただけで使い道は知らないと答えておけ」
「はい 畏まりました」
「明日 ゼフェルの所へディニー様を迎えに行った後は側を離れる事ないように警護しろ」
「明日は騎士団の序列試験が・・」
この為にずっとと言おうとするとその前にディスティニーが口を挟む。
「私も明日はここの観光したいからお迎えも警護も
いらないです。それに多少の嗜みはあるし」
「観光の案内と警護ならば わしの家のものにさせましょう。城へは明後日にでもお越しなられればよいかと」
笑顔で言われると宿屋で・・と言う一言が言えなくなる。
ーうー 一人で泊まって食堂とか酒場に行ってみたかった・・ー
こっそり食堂で注文してこれからって時に見つかり強制送還ばかりされてたから羽根を伸ばしてみたかったとは思うが変に疑われるとあとあと面倒だしだしどうしようと思案しているとこえをかけられる。
「この爺と妻としかおらん屋敷で退屈かもしれませんが ご容赦を・・」
「いや いきなりお邪魔して迷惑じゃないかとー
マナーもろくにに知らないし」
あははーと笑いながらそういうとゼフェルは笑いならながら言う。
「妻は身体が弱くあまり外にでられぬもので・・
姫様・・いえお若い方が家を来訪される事をとても喜ぶのでそのようなことはありませんよ」
断れない文言だと思い対抗を諦める。そして素直に
「よろしくお願いします。お手数をおかけします」
一言そう言って軽く頭を下げるとゼフェルは満足そうにうんうんとうなづくのであった。
私の恨みはらします @sith0707
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