第11話

「じっくりみたらすぐ返してやれよ」

指輪を見て声をあげようとする前にそれを制するように言われると目の前にいた少女をじっとみる

さっきアルフィージだと思い思わず抱きついてしまったがよく見ると最初に出会った時よりもずっと幼い感じがする。

「ディスティニー・・?ディニーなのか?」

ずっと探していた妻と娘 年が変わる為にその歳の

子供を探していた。

彼女の住む東の魔の森は自分しか入れない所だったから手隙を作っては森中を探索していたが何も手掛かりは見つからなかった。

「私 名前言いましたか?そう言えばランティス様も私 爺様にしか名前も愛称もいった記憶が・・」

あれ?と言わんばかりに隣にいるゼフェルを見るとニコニコと笑っている。

「私は何もいっておりませぬよ アルフィージ様は

ずっと貴方様をディニーと呼んでおられました故

身が近いものは知っておることでございます」

「おいっ ゼフェルなんでお前が爺様なんて呼ばれてんだ??」

ランティスが待てっと言わんばかりに抗議をすると

本人はホッホと笑い始める 

「私はかーたまの次に爺と呼ばれておりました故になぁ 抱き方が悪くすぐ泣かれていたどちらかと

違いましてなぁ」

それを言われるとランティスはうぐっと言葉に詰まる。すると指輪を眺めていたディアウォードがボソッと話しはじめる。

「私はあの頃 クズだったからな 彼女が俺を捨てて森に戻ってやっと大切さがわかって迎えに行ったときにやっと名前と愛称を教えて貰えた」

指輪を撫でながら目の前にいる少女に深々と頭を下げる。

「すまなかった。何度謝ったところで許されない事をしたと思っている。フィーにもう一度でいいから

謝りたい。絶対にフィーの意向に沿わないことはしないと誓う。魔法の制約を使ってもいい だから

アルフィージに会わせてくれないか」

それを言われると目の前の少女は俯いて首を横に振る。

「アルはもう亡くなった この子はアルを纏った養親に育てられたんだとよ」

首を振って拒否した相手にだったらと条件を言おうとするとその前にランティスが口を挟む。

「亡くなった?どこでだ??養親というのは」

「この子もアルの顔知らないくらいの時らしい

その養親が俺にこれ 届けるように言ったらしく

さっききたんだ」 

手紙を差し出して渡すとびっくりしている相手に

置いてある焼き菓子をとり手に取らせる。

「ここの焼き菓子は王都一番なんだ なかなか食べれないくらいの人気商品だから一口でいいから齧ってごらん」

ニッコリといい笑顔で言われて遠慮がちに食べる。

ーうん 美味しくない ゼアのお菓子の方がずっと美味しい・・ てかあの情け無いのが父親とはー

ため息が出そうになるのを我慢しつつさっき串焼き食べなきゃよかったと後悔しつつ焼き菓子を口にしながらこっちに聞こえないように言い合いをしている二人の口元を見ながら話の内容をさぐる

ー赤ん坊の時に起きた事責め立ててもどうしようも無いだろうが それより苦労してたことに頭まわらないのかっー

ー苦労?ー

ーお前の浪費娘と違って市井で養親と生活してたんだっ 今着ているものもカイザードが昔着ていたもの持って来させたものだっー

ードレス一着すら買えない生活を?ー

ーそうだっっ魔獣狩ったり 魔石やアルが子供を頼む為にと言って持っていた財産をあの子を育てるのに売って生活していたとー

奴隷や娼館に売られていてもおかしくない状況だったんだぞと言われると顔を青くする。

ー想像力が無いのか 現実見れないのかどっちだ

カイが聞くたびに嫌そうな顔する意味がわかったー

不味い焼き菓子をもそもそと食べつつ部屋の隅ではなしている二人を見る。

ーお前が引き取るきがないなら俺が引き取る これ以上そんな生活はさせられないー

それを聞くとぶっとお菓子を吹き出しそうになるのをぐっと堪える。

そんな事されたら私の計画がぁぁ てか王城でこの暮らしなのにそれよりも落ちる将軍の家に厄介になるくるいなら普通にカイスターンのとこに戻り復讐計画を練り直しする方ががずっとマシだ 

だから言うたのだと嫌味は山ほど来るだろう。

そしてしばらくは外出禁止もくらいそうだ・・

その前にここ滅びそうな感じがと思っていると壁がゴンっと殴られる。

「俺の娘だっ 正妃との間にできた第一継承権を

持つ娘をどうして他者に渡すと思う」

「だったら今度は守れるのか?あの側妃やロシュフォールが知ったらアルの二の舞だぞ」

それを言われると言葉に溜まり始める。あの家の闇は分かるが糾弾するには証拠が足りない。

そして王太子となると言われているのはあの家から

きた側妃が産んだ息子なのだ。

あの側妃が産んだとは思えないくらい他者に思いやりがあり公平で優秀な子だ。

その子を罪人の子にするのはと思っているとランティスは黙り始めた友人を引っ叩く。

「そう言うとこが駄目なんだよ あの王子が王太子になったらイリューザー家は辺境へ移行する。息子は残るかも知れんが有事の際は手は貸さん」

「ディアウォード様 私も引退をさせていただき妻と使用人達や部下と田舎暮らしの予定です」

国の二台柱にそう言われるとディアウォードは慌てて二人を見る

「我らはあの時 第一継承権をお持ちの貴方様こそが国を継がれるのが正道と思いお供いたしました。それを曲げられるのであればお仕えするに値いたしません」

キッパリと言われた言葉にずっと何があってもついてきてくれると思っていた相手達からの拒絶に唖然とするのだった。




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