「思い出の靴」

「痛!」

 夕日が照らしているでこぼこ道を歩いていると足裏に何かを踏んだような痛みを感じた。


 確認すると靴の底に穴が空いており、石ころが入っていた。よく見れば紐もつま先もそこら中、擦り切れていた。


 寿命だな。すぐさま理解した。思い返せばこの靴を履いてから、五年くらいが経っていた。お気に入りのスニーカーでこの靴で色々な所を歩いた。


 よくここまで保ったものだ。僕は歩いた。


 これが最後と言うことを心の底から理解して、一歩一歩を噛み締めた。


 ありがとう。その日の夕陽はいつもより眩しかった。

 


 

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