「絶えぬ試練」

暖かな土の中、小鳥の鳴き声で目を覚ました。冬が明けたのだ。


 長年の感覚で理解した。天井を覆う土を掻き分けて、地上へ向かった。


 しばらく掘り続けると眩しい光が飛び込んできた。あと少しだ。


 必死に掻き分けて、ついに地上に出た。僕は感動した。緑に覆われていたからだ。


 冬の寒さで死に絶えた大地とは違い、生い茂っていたのだ。


 そして、至る所から仲間達の鳴き声が聞こえる。


 僕も鳴いた。僕はここにいる。ここにいるぞ。超えたぞ。今年も超えたぞ。


 すると背後から何かを気配がした。きっと仲間だ。僕は振り返った。


 僕の大嫌いな奴が二つに割れた舌を出し入れしていた。



 

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