「文字通りの親子」
仕事の休憩時間。僕はのんびりと昼食を取っていた。すると同僚が駆け寄ってきた。
「おーい今日。大型新人が来るってよ!」
「大型新人? 良いところの大学の出とか。経験者とか?」
「違う! マジで背高いんだよ!」
「ああ、そういう」
「ほんで俺とお前とその子の面接することになった」
「はっ? マジか。分かった」
突然の面接で驚いたが、まぁどんなにデカいのか少し気になった。
「いや、デカすぎるだろ」
僕は驚愕した。その新人の身の丈は十メートルはあった。某編集者の漫画に出てくる巨人くらいデカかった。あまりにも大きかった為、会社の裏側でスペースを作って、面接をすることにした。
「初めまして、権田太志です」
大型新人君はご丁寧に自己紹介をしてくれた。そこからは質疑応答を繰り返して、面接を終えた。
「態度は悪そうじゃないんだけどさ。あの巨体はな」
「ですね」
残念だが、不合格だな。僕とて生真面目なこと言うこともあり、心は痛んだが仕方あるまい。
数日後、出社した時、唖然とした。社員の皆がガスマスクをつけていたのだ。一体何事かと思ったが、進んでいき理解した。
凄まじく臭うのだ。おそらく体臭的なものではなく、有毒な何かだ。
「これ付けて向こうの部屋に行ってくれ」
上司にいきなり、ガスマスクを手渡されて、奥の部屋に連れて行かれた。部屋の前から今までとは比べ物にならないほど、強烈な匂いを覚えた。
僕はすぐさまガスマスクをつけて、扉をノックした。
「失礼します」
部屋に入ると近くのベンチに同僚がいて、向かいには紫色の人相の悪そうな中年の女性がいた。
「あなたですね! 私の太志ちゃんを不採用にしたのは!」
毒親だ。直感で理解した。
「うちの息子に配慮がないなんてどういう事ですか! 四郎ちゃんかわいそうに!」
母親が毒の涙を流している。私はすぐさま窓を開けた。
「ふざけるんじゃないわよ!」
母親が口や目から吐き出した毒は部屋の床を覆い始めた。これはまずい。
「早く会社から逃げて!」
僕は部下や他の社員に命じるとみんなすぐさま、会社の外に向かっていた。
同僚とその部屋から出た。
「待ちなさい! まだ話は!」
追いかけようとした毒親の部屋に鍵を閉めた。
「あのババアヤベェって」
「同感」
僕と同僚が会社を出た瞬間、会社の建物が崩れ落ちた。なんて恐ろしいことだ。
数分後、生き残っていた毒親は警察に連行された。てか仕事どうすんだよ。
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