「命の残り滓」
夕暮れの中、杖を突きながら家に向かっていた。
眩しい夕日が目に染みる。死に向かっている老体には少しキツイ。
若い頃は早く死にたいと思っていた。辛く、過酷な現実に何度も直面してきたからだ。
でも今は違う。決して死に恐怖を抱いているわけではない。残り滓を搾ってても生にしがみつきたい理由がしっかりとあるのだ。
「お父さん! どこ行っていんですか?」
「いやー すまない。すまない。散歩がしたくなってね」
目の前から息子の奥さんが駆け寄ってきた。とても心優しい方だ。
「彼も息子も待ってますから。いきましょう」
彼女がそう言って支えてくれた。少しでも長生きしたい。少しでも今あるものを感じていたいのだ。
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