「ガーリック戦争」

 20X X年 にんにくを食べる事は禁じられた。にんにく特有の臭いが周囲に悪影響を及ぼして、公害認定されたからだ。


「焼きにんにく! ガーリックトースト! ガーリックライス!」


 世界では一夜、ニンニク解放運動をが行われている。僕もその一人だ。ニンニクを愛する一人だ。


 僕に今を生きる活力を与えてくれたのはいつだってニンニクだ。欠点なんて誰でもある。むしろ人間の方が面倒で欠点が多い。ニンニクは臭いだけだ。


 僕は国会議事堂の前にプラカードを突き立てる。すると突然、銃声が轟いた。慌てて音のする方に目を向けると男が一人、胸元から血を流して倒れていたのだ。


 側には銃を持った警官。僕は思わず警官に飛びかかった。


「お前! よくも!」


「何をそんなに怒っている! たかだかニンニクだぞ!」


「お前! ニンニクだけじゃなく! 人の命まで奪うとは!」

 僕は警官を殴った。拳が警官を歯を折ったのを頰越しに感じながら、殴りつける。


 「警官が来た! 行くぞ!」

 仲間の一人に連れられて、僕は走り出した。悔しい。同志を失ったのも

そうだが、今日もニンニクを解放できなかった。



 次の日。僕はニュースに釘付けになっていた。政府がニンニクもどきを製作したことを発表したのだ。


 ニンニクの味。栄養。それらを備えているという。


「どうする?」


「もう革命やめるか」

 周囲に革命を終わらせようとする空気が流れる。僕はNOを突きつけた。


「政府の連中だ。何を含んでいるか分からない。味や栄養価もニンニクなのかもしれない。でもニンニクではないんだ。もどきだ。本物じゃない!」

 僕は仲間に訴えかけた。すると名前達が目を覚ましたように綺麗な瞳でうなづいてくれた。


「僕はニンニクが当たり前のように食える社会を取り戻したいだけだ。みんな協力してくれ!」


「おー!」

 部屋中に仲間達の声が響いた。僕たちの戦いは続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る