「わさび」

 敷かれたレールの上を皿が回っている。好みをネタを取ると、わさび醤油に浸して口にした。


 醤油の味とワサビのほんのりとした刺激が舌の上でハーモニーを奏でた。


 舌鼓を打っている時,僕はふと昔の事を思い出した。


 子供の頃はワサビが苦手だったのだ。今でこそ長所として挙げられる鼻につく感覚と匂い。


 それらが嫌だったのだ。ワサビだけではない。茄子。マスタード。ピーマン。子供の頃,食べられなかったものが成長と共に口に出来るようになったのだ。


 そして,ワサビに関しては大人になってからは好んで口にするようになった。


 舌が老いたのか、それとも成長したのか定かでは僕は今を楽しんでいる。


そうして,もう一皿手に取った。

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