「山手線が死んだ日」
日夜,様々な人が同乗する電車。その中でもこの国で最も混雑する路線。山手線。
その車内は今,混沌と化していた。乗客の反応は様々だった。
ハンカチで鼻を抑える中年のサラリーマン。
急ぎ足で別車両で乗り込む学生達。
混乱する車内に怯えて,泣き叫ぶ幼い子供。
派手な衣装を着飾った若い女性達はその格好に似合わない程,酷い形相を浮かべていた。
別車両に移った乗客のパニックに他の車両達も便乗して,騒ぎが伝染していく。
こんなはずじゃなかった。人生で何度も口ずさんだ言葉が脳内で再生された。
本当に出来心だったんだ。ここじゃないとは分かってた。
でも僕にはどうしようもなかった。抗えないほどこの現象の力は強大で僕は無力だった。
去り際、女子高生の蚊の鳴くような声が耳に入った。
「オナラ臭過ぎ」
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