「現人神」


 仕事疲れを背負いながら,僕はテレビの前に横になった。


 液晶画面の向こうにはこの国一番のお偉いさん。


 ニュースキャスターも先とは打って変わり,偉く堅苦しい言葉遣いになった。


 まるでお偉い人というより神と話しているようだ。


 まぁ,元々テレビに映るお偉い方は昔、神同然に扱われていたんだけどね。


 ファラオ。ブッダ。キリスト。天照大神。人でありながら神として扱われている人間が一定数いる。


 そして,それは現在にも通じる事だ。芸能人、インフルエンサーなど多くの著名人も神如く,扱われていることが多い。


 宗教と公言しなくても人が生まれて、崇拝し始めたらそれは宗教なのだろう。


 結局,色々な環境に囲まれている以上、人は何かに縋らないと生きていけないのかもしれない。


 そう言って僕は缶ビールを開けた。






 


 


 

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