「揺らぐ夜行性」
人々が寝静まる夜。僕たちは動き出す。社会は夜中も絶えず回っている。止まることを知らない歯車とも言えるものだ。
日中ほどの喧騒なほとんどなく静寂に包まれている。報酬も高い。しかし、多くの人間がこの仕事を嫌がる。
それは人間という生物が夜に適していないからだ。昼に活動し、夜に眠る。長い人類史の中でその性質が構築されて、遺伝子に刻まれているのだ。
僕自身、最初は眠くて堪らなかったが一月もせずに慣れてしまった。しかし、心が徐々にすり減っている気がした。まるで高い報酬と引き換えに心を売っているような感覚だ。
ジャリジャリとすり減っているのを密かに感じていると、自動ドアから陽の光が顔を出した。この美しい夜明けを拝める。それが僕にとって何よりの報酬に思えた。
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