「氷河期」
人生は氷河期だ。誰かが言った事を思い出しながら、僕は風呂に浸かった。
止まない雨はない。明けない夜はない。春のこない冬はない。そして先人達は『人生生きていたら色々ある』なんて具体性のかけらもない抽象的な事を格言っぽく言うのだ。
しかし、そんなものは小学生でも知っている。そうじゃなければこの世界から自殺者なんてものは生まれない。
その過程でもがき苦しんでいる。乗り越える事を諦めて、自ら命を絶つ者もいるのだ。
そうならないために多くの人は友人や家族、趣味などを心の支えに生きている。心身ともに人は何かに寄り添う事で困難を乗り越えることができる生物だ。
我慢強く乗り切れば、明日が来る。どんな時にも必ず、明るい明日が来る。そう信じて、傷だらけの体を引きずっているのだ。
僕自身もこうやって特に悩みも抱えず、暖かい風呂に浸かっているが、もしかしたら明日には来るかもしれない。
全てを凍てつかせるほどの絶望の氷河期が。
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