「掌小説集」

「無機質な娯楽」

　画面一枚に映る別世界｡ソレには夢と希望が詰まっている。大きさは変わっても人を魅了し続ける存在だ。

ソレの前に立った時，現実ではないどこかへ連れて行ってくれる。始めた瞬間、一区切りが着くまで意識がそちらに吸い込まれる。まさしく魔法だ。

　それ故に依存し過ぎる者達もいる。ある者は時間を費やし，ある者は多額の資金を投じる。お酒やタバコに似て、人によって凄まじい影響を及ぼすという。

　しかし、当事者にとって知ったことではない。今を満たすこと。辛い厳しい現実を生きぬくために彼らは何度も、飛び込むのだ。

　娯楽と夢に溢れた無機質な世界へと。