金木犀の背に跨る
自転車のギアガチガチと鳴らして
昨日見たどこかの映画を思い出す
年中常夏、先週は雨
マンホールを踏み越せば煩いベルが騒いで
唸る雲の下でつまらない缶蹴りをする
死体探しにでもでかけたならば
きっとぼくらは永遠になれただろうにね
花の一輪も咲かせなくなった金木犀を
死体に見せたくて切り倒した
葉も消えて痩せた子供のような金木犀を
ぼくらは永遠の代わりに使った
龍の背にまたがって夜明けを待った
そう信じたいわけじゃないけれど
ぼくらは永遠になれないまま
この夏を超えていく
来ない秋や見たことのない冬が
その向こうにある嵐の向こうの春が
この弱々しい龍の背に跨がれば
すぐそこにある気がした
白いシャツに褪せたジーンズが似合う
きみとぼくと、それから、
ヴェネツィアの宴 暁 @tamakagiru
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