2章終話.か、覚悟決めたから
手を繋いだ三代と志乃は、まったりと街中を歩いてデートして回った。
クリスマスの飾りつけで綺麗になっているイルミネーションを見たり、カップル限定割引のお店に入ったり。
午前中はあっという間に過ぎて行く。とても楽しく過ごせた。ただ、途中から少し疲れて来てしまったこともあり、午後からはマンションでのおこもりデートということに。
それから、マンションに帰ってすぐに、三代は押し入れの中からコタツを出して設置し始めた。
部屋にはエアコンがあるので、決して必要があるわけではないが、冬の雰囲気を出す為にも必要だと思ったのである。
「おこたーぬくぬくぅー」
こたつの電源を入れると、志乃が顔以外の全身をすっぽり入れて亀のようになった。
「無くても良いといえば良いが、これがあると冬って感じがするからな」
「だね」
「な。午後はゆっくり過ごそう」
「うん。――って、ちょっと待って」
志乃はずりずりと這いずって自分の鞄を掴むと、そのままずりずりと戻って来た。そして、鞄の中から袋を取り出してそれを渡して来た。
「……うん? なんだこれは」
「クリスマスプレゼントー」
どうやら、クリスマスプレゼントらしい。
そういえば……「楽しみにしていてね」と志乃は以前に言っていた。
何が入っているのだろうか? 三代は早速中を確認する。中に入っていたのは、随分と高級感溢れるマフラーだった。
「カシミアのやつだから凄い手触り良いやつだよー」
カシミアが何かは分からないが、なんとなく、見た目に恥じないくらいに高い品な雰囲気がする。
「……ありがとう。嬉しいよ」
「喜んでくれたようでなにより!」
「あぁ本当に喜んでる。……よし、それじゃあ次は俺だな。少し待っててくれ」
「りょ!」
三代はこたつから出ると、下着の入った包みを持って来て志乃に渡した。「何が入ってるのかな~」と志乃はニコニコしながら包みを開けて――すぐさまに顔を真っ赤にする。
「こ、これを……あたしに?」
「あ、あぁそうだ」
「ききき、着て欲しいと?」
「……折角買ったし、着てくれたら嬉しいなとは思う」
値段を志乃には告げなかったが、結構高かったこともあり、出来れば着て欲しいとは思う。
やましい気持ちは何も無い。重ねて言う。やましい気持ちは三代には何も無い。
それから、下着を広げた志乃は「あわわわ」と口で波を作り。そして、何か覚悟を決めたように唾をごくりと呑み込んだ。
「わ、分かった。なんかサイズも合いそうな感じだし……じゃあ……温泉に行く時に持っていくね。か、覚悟決めたから」
それがどういった意味を含む覚悟なのか、今の三代には気づくことが出来なかった。恋人関係にはすっかり慣れて来ているのだが、それでもそういう方面の経験値が三代にはまだまだ不足しているのであって。
単純に、「気に入ってくれたんだな」という安堵だけがある。引かれる可能性もゼロでは無かったからこそ、特別に軽蔑されることも無くて良かったと思うばかりだった。
鈍感……等と責めることは誰にも出来まい。
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あとがき。
タイトルに2章終話とあります通りに、2章はここまでとなります。1章よりもだいぶ長くなってしまいましたが、お楽しみ頂けたのであれば幸いです。(/・ω・)/
あとは1章の時と同じくエピローグであるEXを投稿し、その次に3章となります。3章は”なかよし冬休み編”であります。(/・ω・)/
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