紙の本がなくなる世界線の前に出来ること
尾野灯
いまそこにある笑えない危機
まずこれを読んでほしい。
2021年3月31日に消費税額を含めた総額表示の義務免除が終了となる際に、出版物も表示義務が課されることがほぼ確定した。
なんのこっちゃ、と思ったあなたは手元にある本の裏側を見てもらえるかな?
うん、値段が書いてあるところ。
本体価格 ●●●円+税
そう、そこな。それなんで●●●円(税込)ってなってないと思う?
みんな大好きライトノベルは大体半年もすれば余程売れている本以外は、書店からなくなっちゃう。月刊誌なんかもそう。でも、本ってずーっと長い事書店の本棚に居るやつもある。
だから途中で消費税が変わっても、表紙を印刷してかけなおして、差し替えて……とか、本屋さんが必至で全部の本にシール貼りまくって……とかしなくていいように、価格の表記が
本体価格 ●●●円+税
こうなってた。
今ではあたりまえのISBNコードとバーコード、3%だった時代の消費税、それが採用されたときにも、同じことが起こったけれども、あの頃はまだ本は今の3倍くらい売れていた。
1989年の消費税3%の時代、まだインターネットがなかったから、若者たちは雑誌で情報をえていたし、ちょっとしたライトノベルだって初版で3万部なんてのはよくある話だった。
でも今は違う。
いま総額表示にされると、青息吐息でやってる出版社は廃業するしかない。
大手出版社も余裕はないから、長い時間かけてチョロチョロと部数が出続ける名作なんてものを絶版にするしかない。
本を書くために参考資料にしているような、刀剣や歴史の本みたな物を出している出版社ほど先につぶれてしまうのは想像に難くない。
それは、カクヨムでいうと、2021年3月からPV200以下の小説は全部読めなくなる。それくらいの破壊力がある。
景気の良い時代に作られた法律がそのまま生きていて、本という文化を殺そうとしている。
ツイッターやネットでいい、声を上げてほしい。
18歳以上の人は地元の議員さんにメールを送ってもいい。
「自分のお話を、紙の本にしたい」
そう思っている人たちは、今、声を上げたほうがいい。
気が付けば紙の本が死んでいる未来、そんな世界線になる前に。
紙の本がなくなる世界線の前に出来ること 尾野灯 @Nukogensan
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