第11話 革命戦線








この世界は最悪の世界だ。

王族と王族に従う騎士の家系の者、貴族はこの世界に存在する精霊の力をほぼ全て独占し、巨大な壁に囲まれた王の箱庭に閉じこもっている。

必要なものがある時は壁の外にいる下民から必要なものを奪い壁の中の者だけが裕福な暮らしをしている。当然抗うものもいた。だが、王族たちは独占した精霊の力を、壁の中で鍛え抜かれた兵たちの力を使いそれらを完全に制圧したのだった。

王族たちは食料を奪い、珍しいものを奪い、貴重なスキルを持つ人間や労働力を奪う。それらを壁の中に持ち込み武器を作らせたりしているのだった。

当然、下民はそれらに怒りを持つ。それらの怒りが大精霊の力を操る少女が掲げた旗のもとに集いクーデターとして王族たちを討とうとしていた。

この世界は革命戦線の世界、革命をもたらすと誓った解放軍と王族たちが戦いを繰り広げている世界。


「しょうが消えた!?え、どういうこと?詳しく聞かせてくれない?」


シャルティアさんに連れられてノアさんと気を失っているソアラさんと共に私は解放軍の拠点へと向かった。解放軍の拠点にたどり着いた私たちにしょうと一緒にシャルティアさんの帰りを待っていたというゆきちゃんからしょうがいなくなったことを聞く。

私は慌ててしょうに連絡をするためしょうが持っているスマホに通話をかけるが反応がない。私が改造したしょうのスマホなら別の世界にいても連絡は取れるはずだが魔力を使った連絡は魔力の濃い場所や魔力の濃い世界では阻害される。

私は慌ててロマネスカ支部に連絡を入れた。ユリウスと連絡が繋がりしょうのことを調べてくれる。


「シャルロット様、どうやら彼は今シャルロット様とは別の世界にいるようです。魔力の濃度が異常なほど高い世界ですので連絡を取るのは難しいでしょう」

「そうですか、わかりましたありがとう」


しょうを一人にしておくわけにはいかない。早くこの世界で私がすべきことを終わらせてしょうがいる世界に向かうべきだろう。

私たち渡り人は行く世界を選択できない。だが、他の渡り人がいると分かっている世界、今回の場合はしょうが持っているアクロスロマネスカ支部の会員証に埋められているGPSのようなものを使えばしょうがいる世界に向かうことができる。


「シャルロット様、彼は強いですが初めての世界を一人で行かせるのは危険です。私が彼がいる世界に向かいましょう」

「お願いできますか?」

「ええ、任せてください」

「お願いします。私もこの世界ですべきことが終わったらすぐに向かいます」

「わかりました。では、早速向かうとします。あ、あと最近また、世界が一つなくなりました。雪の世界と呼ばれる世界がなくなったようです。世界の終わりが絡んでいる可能性があるのでシャルロット様もお気をつけてください」

「わかりました。しょうのことよろしくお願いします」


いや、世界の終わりの連中と一戦交えました。とはとても言えなかった。

ユリウスがしょうがいる世界に向かうことになり私はユリウスとの連絡を終えた。ユリウスが向かってくれるなら安心できるだろう。


「連絡は終わりましたか?」


振り返るとノアさんが私の後ろに立っていた。


「はい。仲間の元には別の仲間が向かってくれることになりました」

「そうですか、なら安心ですね」

「はい」

「シャルティアさんがあちらで話をしたいと…あの渡り人の少女のことやこの世界のことを話したいと…」

「わかりました。行きましょう」


私はノアさんとシャルティアさんが待つ部屋に向かう。シャルティアさんの横にゆきちゃんが座っており二人の正面に私とノアさんが座る形だ。

横には鎖でグルグル巻きにされたソアラさんが檻の中に入れられている。この件に関してはノアさんが提案したことだった。ソアラさんが目を覚ました場合、鎖が破壊される恐れがあるので頑丈な檻にでも閉じ込めてくださいとシャルティアさんに提案したのだった。身内なのに容赦がない。私としてもソアラさんが起きて暴れ出すことが不安だったのでちょっと安心した。ソアラさんが入れられている檻はシャルティアさんと契約していた大精霊が攻撃しても壊れないほど頑丈な檻らしい。


「お待ちしておりました。早速話を始めさせていただきますがよろしいでしょうか?」

「はい。お願いします」


私の返事を聞いたシャルティアさんは早速話を始めた。ゆきちゃんやこの世界の状況について一通りの話を聞いた後、シャルティアさんは私とノアさんにゆきちゃんのことについて知っていることがないかを尋ねた。


「ゆきちゃんがいた世界はアクロスロマネスカ支部にて消滅が確認されています。ゆきちゃんが遭遇したという世界の終わりの者が破壊したとみて間違いないでしょう」

「そうですか…なら、この子はどうするべきだと思いますか?ぶっちゃけこんな世界にこの子をずっといさせるわけにはいかないですし」


シャルティアさんが困ったような表情で私やノアさんに尋ねる。


「私たちの世界か、ノアさんの世界に来てもらう。という形がいいかと思います。最終的にはゆきちゃんが決めるべきだとは思いますが、渡り人の力を持つゆきちゃんなら私たちの世界やノアさんの世界に行くことは可能です。ゆきちゃんが私と一緒に私の世界に来てもいいというならゆきちゃんは私が責任持って面倒みますよ」

「なるほど、ではゆきちゃん、あなたはどうしたいですか?」

「………わからない……………」


まだこんなに小さな子にさせるのはあまりに難しい選択だったのだろう。ゆきちゃんは答えを出せずに泣いてしまった。そんなゆきちゃんを見て私とノアさん、シャルティアさんは怒りを覚えた。ゆきちゃんにこんな選択をさせる原因を作った世界の終わりを許せないと………











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Re:崩壊する世界より異世界転生-異世界の物語を紡ぎ君に会いに行く。 りゅう @cu180401

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