第126話 その後のてんやわんや騒ぎ。

廉 「痛かった?」

柚月「痛かっ・・・痛くない。」

廉 「上手かった?」

柚月「そんなの、あたしも初めてなんだから分かる訳ないでしょ!」


ベットの上。あたしと廉は真顔で天井を見つめていた。

これで良かったのか?こういうものなのか?

あたしも廉も、頭の上にはてなマークが付いている。


廉 「ついに俺たちも・・・。」

柚月「学校で自慢するのはやめてね。」

廉 「あ、はい。」


ボーッとしていると、階段を上がってくる音が聞こえた。


廉 「裸はやばい!着替えるぞッ!!」

柚月「えっ、えっ、ちょっと待って。」


慌てて脱ぎ散らかっている服を手に取り、廉は机の椅子へ、あたしは床に座り込んだ。


結芽「廉、お風呂・・・って、え?」

柚月「え?」

廉 「え?」

結芽「あんたら、なんちゅう格好してんの!?」


結芽さんの言葉に、あたしと廉はお互いを見つめ合った。

あたしは廉のシャツに下はモコモコのスゥエット。

ただ、廉が・・・。


柚月「え!!(笑)どこぞの変態さんっ!?」

結芽「ぎゃはははっ!!お腹痛いっ」


慌てていたのは分かる。親に裸を見られたくない年頃なのも・・・まぁ、分かる。


結芽「ねぇ!!そのブラジャー誰のっ!?」

柚月「Tシャツの上からブラって・・・。」

結芽「なのに、下半身はトランクスなの?」

廉 「は?これ今年のトレンドだし。」

柚月「んな訳ないでしょうが(笑)」


誰がどう見ても分かるだろう。

このチグハグな着こなし方・・・『慌てて着替えました』感が半端ない。


柚月「あたしのブラ返してよ!」

廉 「案外このブラ、俺でもいけるサイズ・・・。」

柚月「張り倒されたいの?」

結芽「とにかく分かったから!!早く元の姿に戻って廉はお風呂に入りなさい!」

廉 「えー、嫌だ。」

柚月「何で?」

廉 「柚ちゃんの温もりが無くなっちゃう・・・。」

柚月「若干、大地君降臨してません?」


ギャーギャー騒ぎながらも、廉はお風呂へ。

ブラを返納され、元の姿に還ったあたしはリビングへと降りた。

結芽さんは終始ニコニコでご満悦の様子。どんな態度をしてソファーに座っていたらいいのか考えていた時、結芽さんの携帯音がリビングに鳴り響いた。


結芽「・・・あれ、桂太君だ。」


結芽さんは携帯を手に取り、桂太先生からの電話に出た。


結芽「もしもし?どうしたの?」


桂太先生が結芽さんに何を話しているのか、あたしには分からない。


結芽「・・・え?光希君が!?」


『光希さん』この言葉が気にかかる・・・。


結芽「明日ね。うん、菜緒も光希君も来るんでしょ?分かった。じゃぁ、明日待ってるから。」


『明日』『みんなでこの家に来る』

それだけがキーワード。

あたしは結芽さんに聞いてみた。


柚月「何かあったんですか?」

結芽「柚月ちゃん、明日夕方までいれる?」

柚月「大丈夫ですけど・・・。」

結芽「この話、まだ廉には内緒にしておいて欲しいの。」

柚月「それは全然構わないですけど。」

結芽「ごめんね。あたしも実はビックリしてて・・・。」


これ以上は聞かない方がいいのだと、あたしなりに判断をした。

結芽さんの表情が、どことなく困惑している様に思えて・・・。


廉 「あー、さっぱりした。」

柚月「廉、お帰り。」

結芽「廉、明日は何の用事も無いよね?」

廉 「無いけど。何で?」

結芽「無いならいいの。柚月ちゃんとゆっくり過ごして。」

廉「・・・え、柚月何かあったの?」

柚月「ううん、あたしもわかんない。」


明日、あたし達に何が待っているのか?

今、それを考えていても何も始まらない。


結芽「ごめんね、ちょっと一人にさせてもらってもいいかな?」

廉 「体調でも悪いの?」

結芽「ううん、そうじゃ無いけど・・・。」

柚月「廉、部屋に行こう?」

廉 「あ、あぁ・・・。」


とにかく、明日を待つしかない。

明日になれば、きっと全てが分かるはず・・・。


廉 「ねぇねぇ。」

柚月「何?」

廉 「リベンジ、します!?」

柚月「えー、やだ。」

廉 「お願いっ!もう一回だけ!!」

柚月「・・・あたしを笑わせてくれたらいいよ。」

廉 「分かった。柚月のブラ貸して。」

柚月「絶対しない。寝るよっ!!」


『する』『しない』の押し問答開始。

結果、喋り疲れて寝てしまったというのが、あたし達らしい結末なのであった。











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