第125話 ちょっと変わった初体験。

廉 「捕まえた。」

柚月「起きてたのっ!?」

廉 「柚月が部屋に入ってきたので起きた。」

柚月「起こしちゃってごめんね。」

廉 「ううん、待ってたから。」


背後から抱き締められたままの状態で、ベッドの上に寝転ぶあたしと廉。今ではそれが安心感に変わっていて、廉の温もりが心地いい。


廉 「クリスマス、楽しみだ。」

柚月「あたしも。凄く楽しみ。」

廉 「なぁ、柚月。」

柚月「どうしたの?」

廉 「最近、好きになればなる程不安になって来るんだ。」

柚月「不安に?何で?」

廉 「柚月が俺から離れて行くんじゃないかって。」


あたしは身体の向きを変え、廉に顔を近付けた。


柚月「ずっと側にいるよ?」

廉 「うん。信じてる。でも、幸せ過ぎて怖いんだ。」


廉の気持ちが分からない訳でもない。

苦しかった日々が一転、今では毎日が穏やか過ぎて・・・。

誰といても埋まらないこの想い。

廉じゃなくちゃ埋められないこの想いが、どんどん膨れ上がっていくばかりで。

初めて芽生える気持ち。


『廉と繋がりたい』


今、この瞬間。素直にそう思える自分がいた。


柚月「あたしが安心させてあげる。」

廉 「え?どうや・・・」


自分が思うより、ずっとずっと廉に恋をしていた。

でも、今はそれが愛に変わったと、確実に言い切れる自信がる。

あたしは、話し出す廉の口をキスで塞ぎ、耳元でそっと呟いた。


柚月「こんなあたし、嫌?」

廉 「嫌じゃない。」

柚月「このまま続き、してもいい?」

廉 「それ、俺のセリフ。」


『もう、ストップは聞かないからな。』


廉が仰向けになっているあたしの上に覆い被さる。

あたしはそれを素直に受け入れるかの様に、廉の首に手を回した。


柚月「廉、大好き。」

廉 「俺の方が大好きだよ。」

柚月「負けず嫌い(笑)」

廉 「もう黙って。」


廉の肌の温もりが直に伝わる。

そして、廉の早い鼓動もあたしとリンクし、怖いなんていう感情よりも、嬉しいと思える気持ちが圧倒的に優っていた。


廉 「怖くない?」

柚月「全然。幸せだよ・・・。」


重なり合う気持ち。重なり合う身体・・・。

『やっと一つになれる』

そう、思ってた矢先だった。


廉 「あっ。」

柚月「何?」

廉 「アレ、準備してなかった。」

柚月「えぇっ!?」

廉 「ちょっと買ってく・・・」


自分がここまで強引な女だとは思いもしなかった。

・・・いや、むしろここで中断なんて絶対に嫌だった。


柚月「続けて。」

廉 「え!?いや、でもっ・・・」

柚月「早くしろっ!!」

廉 「あ、はい・・・。」


どうやら、あたしは性欲が強いらしい。

・・・廉よりも。


廉 「今のでちょっとアレがしょげちゃったみたいで・・・。」

柚月「時間ならたんまりとあるから大丈夫!!」

廉 「柚月ちゃんって意外と・・・意外なのね。」

柚月「集中して下さい。」

廉 「そう言われると、邪念が・・・」

柚月「廉・・・、早くしたい。」

廉 「今ので復活しました。」


普通のカップルみたいに手際も良くない。

ムードだっていまいちだろう。

でも、『好き』という感情がお互いの心を高め合える。


廉 「いざっ!!」

柚月「よし、来いっ!!」


『あたしと廉の初体験』

準備不足な部分はあったが、どうにかこうにか事が済み・・・。

『想像以上に痛いではないか』

終わった後、あたしは撃沈した。





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