第124話 早めのクリスマス

廉 「柚月、ごめん。せっかく用意してくれてたのに。」

柚月「ううん、大丈夫!ほら、せっかくだから開けてみてよ!」

廉 「本当に開けちゃっていいの?」

柚月「うん、いいよ!」


廉が箱に手を掛け、リボンをほどき箱のフタを開けた。


廉 「あっ、マフラー!?」

柚月「そう。色々悩んだんだけど、この色、廉に似合うかなぁって。」

廉 「マジで嬉しいんだけど。巻いてみてもいい?」

柚月「是非!」


全身鏡の前に立ち、廉がマフラーを首もとに巻き付ける。


廉 「こんな感じ?」

柚月「良かったぁ!凄く似合ってる!!」

廉 「ありがとう、柚月!クリスマスの時、必ずつけてくから。」

柚月「楽しみにしてるね!」


とってもご機嫌な様子の廉。

それはまるで、サンタさんにお願いしていたプレゼントが届いた子供のようで・・・。

何度も鏡を覗いてみては嬉しそうな表情をする廉に、『これを選んで良かった』と満足しているあたしがいた。


廉 「柚月へのクリスマスプレゼントは、当日渡すから。」

柚月「え?プレゼントなら、沖縄旅行の時に指輪貰ったからいらないのに。」

廉 「それとはまた別。初めて二人だけでのクリスマスデートだぞ!?」

柚月「そっか。それじゃぁ、楽しみにしてるね!」


部屋の中なのに、ずっとマフラーをつけたままの廉。

気に入ってくれた事が、本当に嬉しくて・・・。


柚月「今日、本当に泊まってもいいの?」

廉 「柚月さえ大丈夫だったら、俺は大歓迎だけど?」

柚月「じゃぁ、泊まらせて貰おうかな!」


結芽さんに『お泊まり』の報告をさせてもらい、歓迎のお言葉を頂いた後、あたしはお母さんに廉の家に泊まる事を電話で連絡。

こちらもあっさり承諾を貰い、結芽さんが『今夜は外食しよう』という事で、お寿司屋さんに到着したあたし達は、注文したお寿司どれかにわさびを塗るという『ロシアンルーレット』的な遊びを入れつつ、楽しみながら久しぶりのお寿司を堪能した。


お腹いっぱい食べ終えたあたし達は廉の家に戻り、三人で食後のデザートとして結芽さん手作りのアップルパイもどきを・・・廉とシェアしながらなんとか食べ終えた。


柚月「お腹はち切れそう・・・。」

廉 「俺も。アップルパイが余計だった。」

柚月「でも、今回のアップルパイは美味しかった!」

結芽「え?いつもは!?」

柚月「・・・いい間違えました。」

廉 「柚月、先に風呂入っちまえよ。俺部屋にいるから。」

結芽「あ、じゃぁ部屋着脱衣所に用意しとくね!」

柚月「すみません、ありがとうございます。」


至れり尽くせりで申し訳無いと思う中、あたしは地獄かと思う程の湯船に数秒だけ浸かり、シャワーで全身を清めた後、結芽さんが用意してくれていたモコモコのスウェットに着替え、廉の部屋に上がった。


柚月「廉ー・・・あれ。」


部屋に入ると、廉がベッドで寝てしまっていた。

あたしは起こさない様にベッドの上に座り、廉の寝顔を見ていると、突然廉の目が開き、あたしはそのまま廉に抱き締められながらベッドに倒れ込んだ。

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