第123話 しくじったクリスマスプレゼント

柚月「ごめんね、買い物付き合わせちゃって。」

まこ「全然!あたしも光希へのクリスマスプレゼントみたかったんだ!」

柚月「まこは何をプレゼントするの!?」

まこ「予定では腕時計かな?教師になったら使いそうだし。」

柚月「いいね!それ!あたしはどうしようかなぁ?」


街中をブラリ、あたしとまこはクリスマス間近でイルミネーションを飾りだしつつある大通りをゆっくりと歩き回っていた。


『クリスマスは二人でイルミネーションを見に行こう』


廉からのデートの誘いに笑顔で答えたあたし。

その日が三日後に迫っていた。

廉の喜ぶ顔が見たい。その想いだけで、あたしはプレゼントする品を一生懸命考え、廉に似合う物を探して周る。

でも、何故かその時間さえ楽しく感じている自分がいた。


柚月「あ、このマフラー。廉に似合いそう。」

まこ「いいんじゃない!?シンプルで廉君に似合いそうだね!!」


縦半分にグレーと淡いホワイトの二色使いされたシンプルなマフラー。


柚月「廉、使ってくれるかな?」

まこ「柚月からのプレゼントだったら、使うに決まってるじゃん!!」

柚月「じゃぁ、これにしよう!」


プレゼント様にラッピングをして貰い、ブルーのリボンを結んで貰い・・・あとは当日を待つのみ。


柚月「まこはクリスマスどう過ごすの!?」

まこ「あたし達もイルミネーション見に行く予定だよ。」

柚月「じゃぁ、もしかしたらすれ違うかもね(笑)」

まこ「ラブラブなお二人を拝ませて頂きます(笑)」


まこも光希さんに渡すプレゼントを無事購入。

小腹が空いたあたし達は、レストランで早めの夕食を済ませた後、『年末は四人で』と約束をし、まこはこの後光希さんと会う約束があるという事だった為、そのまま解散した。


電車に乗る際、結芽さんが大好きなチーズケーキ専門店のお店でお土産を買い、帰宅ラッシュの混み合う電車に揺られながら地元に到着。

そのまま廉の家へと向かった。


結芽「あらら!柚月ちゃんいらっしゃい!!」

柚月「こんばんは!あの、これ結芽さんにお土産です!」

結芽「あーーっ!あたしの大好きなチーズケーキ!!」

廉 「声がうるさい。隣の家に迷惑!!」

柚月「廉!!ちょっとお邪魔してもいいかな?」

廉 「もちろんい・・・」

結芽「どーぞどーぞ!!あたしの下着とかとっ散らかってるけど気にしないで!!」

柚月「相変わらず元気ですね・・・(笑)お邪魔します。」


失礼を招致して。

『本当に汚い』

しかも、座る場所がない。


柚月「あのー・・・、どこに座っていいですか?」

結芽「あっ、座る場所ね!!洗濯物ポーーイっと!!」

柚月「あ、投げた。」

廉 「いつもだ。 」

結芽「はい!ここに座って!今ケーキとおしるこだすね!」

柚月「甘いのに甘いので攻めるのね。」

廉 「いつもだ。」


結芽さんのマイペースな所、それを呆れ顔で見守る廉。

何だかんだ言って、親子の絆はとても深い。

お互いにお互いの意見を尊重し合い、出来ない部分を双方で補っていく。

まるで夫婦の様でもあるが、それが松澤家が明るくいれる生活リズム。


結芽「柚月ちゃん、せっかくだから今日泊まっていけば!?」

柚月「え、何の『せっかく』ですか?(笑)」

結芽「だって、そのラッピング・・・、廉にクリスマスプレゼント渡しに来たんでしょ!?」

柚月「・・・え。」

廉 「このバカ。正直に言えば良いってもんじゃねーんだよ!!」


三日後・・・、クリスマスイブに渡そうと思っていたプレゼント。

まさかのまさかで、今日渡す事になるなんて・・・。


結芽「え!?あ、違うの!?ご、ごめんなさいっ!!」

柚月「いえ・・・、せっかくなんで。廉、これ少し早いけど・・・クリスマスプレゼント。」

廉 「いや、でも今日貰っちゃっていいの?」

柚月「いいのいいの。開けてみて。」

結芽「柚月ちゃん、ほんっっとうにごめんね。」

柚月「あはは・・・、お気になさらず・・・。」


イメージとは、到底かけはなれたプレゼントの渡し方。

廉も、どことなく申し訳なさそうにプレゼントを受け取り、開けるかどうか迷っている。


結芽「チーズケーキうまっ!!」

廉 「部屋・・・行こうか。」

柚月「うん。行きたい・・・」


一人てんやわんやしている結芽さんをリビングに放置し、あたし達は廉の部屋へと向かった。








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