第120話 離れていても揺るがない友情愛。
廉 「あーっ!!疲れたっ!!」
柚月「い、息切れが半端ない・・・」
何とか駅へと戻って来れたあたしと廉は、各トイレにて制服から私服へと着替え完了。
あたしも被っていたカツラを取り、ようやく元の姿に戻る事が出来た。
柚月「大地君、大丈夫かな!?」
廉 「大地と昨日、電話で約束したんだ。」
柚月「約束?どんな!?」
『手助けをする事なんて、いくらでもしてやれる。でも、大地本人が強く変わらなきゃ意味がない。』
柚月「確かに、それはあるかもね。」
廉 「この街、大地が小学六年間育った街なんだって。」
柚月「そうだったの!?」
廉 「ここが大地の母親の実家があるみたいで、そこに戻った形らしい。」
柚月「じゃぁ、あのいじめてた人達って・・・」
廉 「小学生の時に大地をいじめてた奴等って事。」
どんなに時が経っても、いじめは終わる事なく続いていく。そんなやっかいなしがらみに大地君は再び出会ってしまった。
小学生から高校に成長した今でも、中身が変わらない人間なんて山ほどいる。
『見た目だけが大人になる』
きっと、どこに行ってもそんな人は沢山いるのだろう。
廉 「まぁ、会えない距離じゃねーし、いつでも遊びに来れるしな。」
柚月「そうだね。新しい学校生活、頑張って欲しいな。」
廉 「大丈夫だろ。世の中悪い奴らばっかじゃねーよ。」
柚月「そう思いたいね・・・さて、帰りますか!」
廉 「そうだな。」
帰っている最中、廉のケータイに大地君からLINEが来た。
『がんばるよ。』
たった五文字のメッセージ。それでも、あたし達には大地君からの力強い決意が感じられた。
それぞれの人生。『乗り越えられない壁ない』。
きっと時間が掛かっても、どんな困難も乗り越えられるはず。
それは、あたしと廉にも言える事・・・。
廉 「あれ、母さんから電話だ。」
柚月「何だろう?」
廉がスピーカーに切り替え、電話に出た途端、結芽さんの呆れた声が聞こえてきた。
『二人とも、今すぐ学校に来いだってよ。』
廉 「あ、やっぱりバレたのね。」
柚月「怒られる。」
廉 「今回も竹刀で一発・・・」
柚月「そんな事したら停学になります。」
『必ず行きなさいよ!!』
結芽さんの半切れの声に『はーい』と答え、電話を切ったあたし達は地元に到着した後、そのまま学校へと向かった。
校門には学年主任を初め、教頭先生まであたし達をお出迎え。
こってりと説教をくらったあたしと廉は、反省文を書かされ、それを校長へ謝罪とともに提出。
怒鳴られると思いきや『良くやった』と褒められ、教頭ら一同ポカンと口を開け、あたしと廉は『校長最高!!』と固い握手を交わした。
こうして夏が終わり、紅葉が綺麗な秋が訪れ・・・穏やかな生活を送っていた秋の終わり、11月中旬。
あたし達二年生は沖縄へ修学旅行の時期に突入した。
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