第116話 廉の想い。

大地「廉君ダメ!!」

柚月「廉っ!!やめて!!」


睨み合う二人。

他の生徒はただ黙って二人の光景を見ているだけ。


廉 「ほら、かかってこいよ。」

生徒「謝れよ!そうしたら許してやる。」

廉 「は?(笑)謝る!?俺が?やだね。いーから早く殴れよ。」

生徒「ど、土下座しろ!!」

廉 「俺の服、伸びんだろーが。まずは服から手を離せよ、手伝ってやっから。」

生徒「痛ぇっ!!は、離せ!!手が痛いっ!!」

廉 「喧嘩してーんだろ!?相手してやるって言ってんの。」

生徒「手っ!手を離しますから!!ストップストップ!!」

廉 「男に二言はねーんだよ!!てめーら、弱い者イジメして楽しんでんじゃねーぞこらぁっ!!」


廉の凄まじい迫力に、生徒達がたじろぐ。

廉の胸ぐらを掴んでいた男子生徒も、廉の握力には到底敵わず手を離してしまう始末。

それでも退かない廉の態度に、他の生徒達は怖じ気づいてしまい『ボス』を残して逃げ去ってしまった。


廉 「あらら。お友達逃げちゃったけど大丈夫!?」

生徒「お前っ、大地の何なんだよ!?」

廉 「親友だよ。ここの高校に今日から世話になるって聞いたから挨拶しに来ただけ。」

生徒「親友!?こんなクズと親友になったって、なんのメリットもっ・・・うわぁぁっ!!」


ハラハラが治まらない。大地君の事を『クズ』呼ばわりした事に腹を立てた廉が、今度は生徒の髪の毛を掴み顔を近付けた。


廉 「謝れよ。」

生徒「へっ!?」

廉 「謝れって言ってんの。それとも、このまま髪の毛全部抜いてやろーか?」

大地「廉君っ!!やめて!!」


大地君が仲裁に入り、男子生徒はその場に尻もちを付き怯えた様子で廉の方を向き、こう言った。


生徒「大地は昔から俺達の下部なんだよっ!!」

廉 「昔は昔。いつまでガキのままでいるつもりだ?くだんねぇ。」

大地「廉君、僕は廉君達と楽しい思い出があるから頑張れる!!だから心配しないで。」

廉 「これからもお前は友達だろーが。その友達がクズ呼ばわりされてヘラヘラしてる奴が何処にいんだよ?」

柚月「廉、お願いだから一回落ち着いて・・・」

廉 「ほら、そのまま大地に土下座しろよ。もう二度としませんって地面に額擦りつけろ!!」


この騒ぎを誰かが先生に報告したのだろう。

数人の先生達が駆け付け、突然廉に怒鳴り始めた。


先生「どこの高校だっ!!」

生徒「先生。こいつ、急に俺に殴りかかって来て・・・」

柚月「はぁ!?何言ってんの!?あんた達が大地君をいじめてたんでしょ!?」

先生「君達、もしかして高校行ってないのか!?退屈しのぎでうちの生徒達に絡むなら・・・」

廉 「うるせーなっ!!おめーらそれでも先生かよっ!」


廉の大きな怒鳴り声が響き渡る。

他の生徒達は立ち止まり、肝心の男子生徒は先生の背後に隠れ、廉は一人、先生達に囲まれた。

・・・でも。それでも廉の勢いは止まらない。


廉 「何年先生やってんだよ!?ちゃんと生徒一人一人見てんのかよっ!?」

先生「何だ?偉そうに!!」

廉 「おめーらみてーな奴等が先生名乗りやがって・・・。だから、いじめが減らねーんだよっ!!」


譲さんの願いが。光希さんの夢が。そして、廉の大地君に対する友情としての想いが・・・。

全てが怒りに変わり、廉は今みんなに伝えようとしている。

現実を叩き付けられ、いじめが減らない日々をどうにか変えたい。『分かって欲しい』その一心で、廉の心が雄叫びをあげていた。









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