第115話 人間観察。
柚月「ねぇ、廉。大地君、今日来てるよね!?」
廉 「それに賭けるしかねーだろ。柚月、見逃すなよ!」
隣の県にある、とある公立高校。ここに大地君が編入したと担任の先生が言っていた。
時刻は正午過ぎ・・・。私服でマスクを付けている男女二人が、校門の所でウロウロしている。
明らかに不審者である。
柚月「あっ、生徒が出てきたっ!」
廉 「よし。見つけてやる。」
門を出る生徒一人一人をジロジロ眺める。そして、相手側もあたし達を不気味そうに見返してくる。
これは耐久戦になりそうな予感・・・。
廉 「あ、あれかな!?」
柚月「いや、あんなにカッコ良くない。」
廉 「お前、結構失礼だな・・・」
柚月「廉っ!あれじゃない!?」
廉 「大地はもっとボテッとしてる体型だ。」
柚月「人の事言えないじゃん。」
何気に楽しい人間観察。
ここは男子校らしく、女子生徒が一向に出てこない。
うちの高校とは違い、真面目そうな生徒ばかりで品が良く感じる。
廉 「本当にここか!?大地には合わねーよ。」
柚月「だって、先生が言ってたんだ・・・あっ!!あれ、そうじゃない!?」
廉 「どれどれ?」
あたしが目にした光景。
数人の男子に囲まれ、大地君らしき男の子が鞄を何個も手に持ちながら門へと近付いてくる姿・・・。
柚月「間違い・・・かな!」
廉 「大地だ。」
柚月「だよね・・・。」
廉の表情が、みるみる険しく変わっていく。
・・・そう。戦闘モードにスイッチが入ってしまった。
柚月「廉、ここは他の高校だからね!?くれぐれもっ・・・」
廉 「悪は成敗するべしっ!!」
柚月「あっ、ちょっと廉っ!!」
校門の手前まで近付いて来た大地君達に突っ込んで行く廉。今までゲラゲラ笑っていた男子生徒達も、廉の姿に驚いたのか一斉に静まり返った。
大地「れ、廉君っ!?何でここにいるの!?」
廉 「んな事はどーだっていいんだよ。お前、随分荷物あるんだな。何で!?」
大地「これは・・・じゃんけんで負けたから持ってるだけで・・・」
廉 「楽しそうじゃん。俺も混ぜろよ。」
グイグイ詰め寄る廉に、ある一人の生徒が廉に突っ掛かって来た。
生徒「誰お前?何処の高校!?」
廉 「だっせ(笑)今時そんなセリフでイキッてる奴、久々に見たわ。」
柚月「廉、ちょっと落ち着いてっ・・・」
生徒「おっ!可愛い女の子いんじゃん!名前は!?LINE交換しよーよ!!」
廉 「俺の女にちょっかい出してんじゃねーよ。クズ野郎が。」
廉の怒りが頂点に達してしまった。
数人の生徒が廉を囲むが、廉は恐れる処か、逆に楽しんでる様に見える。
大地「廉君!僕なら大丈夫だから!!」
生徒「あ、何?こいつお前の友達!?(笑)お前友達なんていたの!?(笑)」
廉 「大地はてめーらみてぇなクズ共に構ってる暇ねーんだよ。自分の荷物ぐれー自分で持てや。」
生徒「・・・喧嘩したいの?お前。」
廉 「勝てるとでも思ってんの!?(笑)来るなら来いよ。」
生徒「生意気なんだよっ!!」
きっとこの人がこの中の『ボス的存在』なのだろう。
廉は胸ぐらを掴まれ、そして廉の手は拳に代わり・・・
他の生徒が見ている中、二人は一触即発状態となった。
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