第112話 幸せの誓い

光希「廉!柚月ちゃん!久しぶり!」

廉 「光希先生、お久しぶりです。」

光希「やめろ(笑)プレッシャーかけんなよ(笑)」

柚月「光希さん、元気でしたか?」

光希「うん。まぁ、何かとバタバタだけど元気だよ。」

まこ「この面子が揃うの、久々だね!」


去年同様、会場はお客さんで大賑わい。出店もいい匂いを醸し出していて、空腹状態のあたしのお腹はグーグー鳴っていた。


廉 「柚月、何か食う?」

柚月「食べたい!!」

廉 「クレープだろ?さがしに行こうぜ。」

柚月「さすが廉!あたしが食べたい物マスターしてるね(笑)」


『40分後にまたこの場所に集合で。』そう約束し、あたし達は別行動をする事にした。


廉 「浴衣、今年はピンクなんだな。」

柚月「あ、うん。去年がく・・・」

廉 「黒だったもんな。あれもあれで似合ってたけど、こっちの方が柚月らしくて可愛い。」

柚月「・・・廉、最近本当に変わったね。」

廉 「常に素直でいたいとおもえる様になったんだ。・・・おかしいかな?」

柚月「ううん。ずっとそんな廉を待ってたの。だから嬉しい。」


あたしから差し出した手を、そっと握ってくれる廉。

視線が合い、お互い恥ずかしさから笑顔になる。

・・・やっと。やっとここまで辿り着いた。

あの廉が、ここまで自分を取り戻し本当の笑顔を笑顔を見せてくれる様になった。

それが、あたしは本当に・・・本当に嬉しくて・・・。


廉 「柚月?」

柚月「ご、ごめんねっ、なんか嬉しくてつい・・・」

廉 「今まで、沢山辛い思いさせてごめん。泣かせてごめん。」

柚月「廉、お帰りなさい。」

廉 「ただいま。待たせてごめんな。」


これから、沢山の思い出を二人でつくって行こう。

何気ない日々も、楽しいと笑いながら過ごして行こう。

もし、この先辛い事があっても、二人で乗り越えて行こう。


廉となら、どんな困難も乗り越えて行ける。

そして、廉も同じ気持ちであって欲しいとあたしは願ってる。

恋も愛も美しくて楽しい事だけが全てじゃない。醜い部分も、恥ずかしい所も全部包み込んで好きと思えるのが本当の愛に変わる瞬間だと、まだまだ未熟なあたしでもそう思えた。


廉 「来年も、再来年もずっと一緒に来ような。」

柚月「うん!約束。」

廉 「約束。」


誓いの指切りげんまん。

来年も、またこう言い合えます様に・・・。


この後、光希達と合流したあたし達は間も無く打ち上がる花火を見るため、会場のど真ん中にある階段を上り、去年と同じ場所・・・一目千本桜の木の下で待機。


ずっと握ったままの手が汗ばんでいたが、あたしも廉も離す事なく、カウントダウンが始まった打ち上げ花火の一発目を心待ちにし・・・。


『ドーーンッ!!』と心臓にまで響く花火の音に、今年一番の夏の思い出を胸に噛み締めていた。










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